一般社団法人スクール・トゥ・ワークの監事をしております小松です。私は、普段は、株式会社スーツという時価総額100億円以下の中堅企業・中小企業・小規模事業者など中小企業等に対して経営支援をする、いわゆる経営コンサルティング会社を経営しています。

スーツ社では、友人・知人からは、「通常の経営コンサルティング会社ではありえない」と言われることをしています。それは、高学歴が当たり前の経営コンサルティング業界において、少ないながらも、主に中学校卒、高等学校卒、専門学校卒、高等専門学校卒、短期大学卒や大学中退などの人材と定義される「非大卒人材」のうち高卒人材2名を経営コンサルタントとして採用していることです。

この新連載「非大卒人材のトリセツ」では、これから数回にわたり、1.一般に、経営コンサルタント業界など知的産業と評価される業界に属する社会人の観点から見た「非大卒人材」の特徴、2.どのように同産業において「非大卒人材」を育成すればよいかについて記載したいと考えています。その後、私と、スーツ社に勤務する「非大卒人材」の奥間さんと木村さんの三人で、座談会形式で、「非大卒人材が経営コンサルタントになった」をお送りしたいと思います。

なお、新連載「非大卒人材のトリセツ」では、タイトルで「非大卒人材」、「トリセツ」と記載しておりますが、正確には、スーツ社の奥間さんと木村さんというサンプルケースは「非大卒人材」のうち高卒人材になりますし、 “たった2年”、“たったの2名”の採用・育成の経験でしかありませんので、その点についてご留意・ご理解いただければと存じます。

「非大卒人材のトリセツ」の初回では、本題に入る前に、「非大卒人材」の状況について簡単におさらいをしたいと思います。データは、2018年12月に当団体が発表した「スクール・トゥ・ワーク非大卒人材データ集2018」から引用します。

1.若者における最終学歴別就業人口

若者における最終学歴別就業人口(出典:厚生労働省,「就業構造基本調査」(2017年))によれば、高校卒が25%、専門学校卒が16%、短大卒が5%、中学卒が4%、高専卒が1%となっており、「非大卒人材」が一世代に占める割合は51%と過半数を超えています。

そのため、未曾有の少子高齢化社会を迎え、労働人口が減少することが予想されている我が国において、一世代に過半数以上を占める「非大卒人材」の活躍は重要な論点になっています。

 

2.高卒・大卒の就職先業種別割合

高卒・大卒の就職先業種別割合(出典:文部科学省,「学校基本調査」(2018年度))によれば、高卒の就職先業種別割合は、製造業は40.4%、宿泊業・飲食サービス業は5.5%に対し、情報通信業は1.0%、金融業・保険業は1.1%となっています。グラフをご覧いただくとわかるとおり、高卒・大卒の就職先業種別割合の違いは大きくあります。

現在、「非大卒人材」の過半数以上が、工場であったり、ホテルや飲食店などサービス業の現場であったりで働いています。一般的に言われていることですが、「非大卒人材」が、それらの職場において、役割として主に求められているのは、“単純労働力としての担い手”です。残念ながら、そこで働く人の個性やスキルが特に着目されているのではなく、“業務をまわす”ために人手が必要なのです。

今後、「非大卒人材」が社会でより一層の活躍をしていくにあたり、スーツ社の属する経営コンサルタント業もそうですが、前述の情報通信業や金融業・保険業など知的産業への「非大卒人材」の就職者数の増加は一つのポイントになってくることが予想されます。

今後、「非大卒人材」が、知的産業など様々な業界で活躍するためには、まだまだ問題は山積みです。当団体が設立以来、継続して指摘してきている高校生の就職活動における「一人一社制」など制度や手続きの変更であったり、就職する中学生や高校生たちのキャリアそのものの考え方を変えたりしなければならないでしょう。そして、もう一つ重要になってくるのは、企業側の「非大卒人材」を採用する受け入れ体制の整備や「非大卒人材」そのものへの理解度の向上です。

この新連載「非大卒人材のトリセツ」を通じて、少しでも多くの企業の経営者や採用担当者に「非大卒人材」に興味をもってもらえるようになればと思います。私自身も会社経営をしておりますので、採用時のミスマッチによる損失については十分に理解しています。この連載を通じて、少しでも「非大卒人材」採用時のミスマッチを減らせればと思います。また、まだ「非大卒人材」を雇ったことのない会社については、予め持っているであろう「非大卒人材」への偏見を捨てるきっかけになればと思います。

私は2年間にわたり「非大卒人材」を採用してみて、「非大卒人材」が大卒・大学院卒と同じように、様々な業界において、十分に活躍できると確信しています。ぜひともこの新連載「非大卒人材のトリセツ」を通じて、皆様に新しい気づきをご提供できればと思います。楽しんで読んでいってもらえればと思います。

「非大卒人材のトリセツ」連載シリーズ

第1回 はじめに
第2回 非大卒人材の可能性
第3回 非大卒人材の育成方法 前編

 

 

小松 裕介
プロ経営者 株式会社スーツ 代表取締役
2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社を7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より、総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。
2018年9月に一般社団法人スクール・トゥ・ワーク設立と同時に監事に就任。