2020年代の若者キャリアはどうなっていくのか。今回は、非大卒向けキャリア支援サービスの「サムライキャリア」などを運営する株式会社前人未到の牛島悟さんと対談します。

前回 2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)③

古屋
私が多くの若者を見ている中で、ハッシャダイから出ている子たちが大卒の人たちと比べて、圧倒的に差があると感じていることがあるのですが、それが読み書きなんですよ。読み書きのスピード、中でも、読み、インプット能力が非常に差があると感じます。

しゃべりの部分、英語でいうとListeningとspeakingは差がなく、ハッシャダイとかの子たちとかはむしろうまいと思います。弱点がある、それが明確に分かれば、その弱点を補うためのコンテンツを提供するだけなので、そういう差を挽回できる場が与えていけるようになっていくと思うのですが、非大卒支援をやられていて実際どう思われますか?

牛島
そうですね。何かそういうコンテンツの提供ともう一つ企業の見方を変える必要があると感じていて、普通に考えると、18歳人材って、学校ではなくて、育てる力がしっかりと備わっている企業であれば、20歳のころには化け物みたいになっていると思うんですよ。

これって、めちゃくちゃバリューも高いですし、ロイヤリティも非常に高いという人材が生まれる。ハイレイヤーのスタートアップの高卒の人たちって、良くも悪くもすごく染まっているんですが、もし彼らはそこから抜け出そうとするとき、選択肢は山ほどあるんですよ。

なので、企業側の高卒人材への見方を変えるのは非常に大事だと思いますよね。採用の仕方が分からないし、した後のメリットが分からないみたいなそういうのが多いんですよ、確かに今を比較したら、劣っているとは思うんです。

しかし、彼らが社会人として4年後新卒の子たちと並んだ時は比べ物にならないのは一目瞭然ですよね。一応、HR領域のすごい先見性を持っている企業とかはこの考えがはまるんですよね。この人たちをいかに巻きこめるかが大事かなと思いますね。

古屋
そうですね。企業側のメリットはどういったものがあるでしょうか。

牛島
簡単なのは、1人の成功事例を作って、企業側が広報にも使えばよい。すると採用力に直結しますね。

古屋
ZOZOさんとか学歴問わず採用していたのですが、あまり外に発信していないですよね。採用の時に。先ほどおっしゃっていた、育てる企業というのはどういうイメージですか。

牛島
業種とかによるのですが、例えば営業はロジカルなものなので、PDCAをしっかり振り替える体制が整えられているか、結局考えてやってみてダメだった、やる気なくなる、終わりみたいな子をどれだけなくすか。

この仕組みを組織でサポートする力があると、企業の力自体が非常に強いんですよね。これでうまくワークしたら良い非大卒人材が増えてくると思います。あとは、企業側の仕事はマインドセットみたいなもの、自己評価と他己評価を合わせてあげることも仕事だと考えています。

「自分はできる」と思いすぎている子がいたら、まず、自分を認識させるみたいな、そういうのが大事だと思います。

古屋
確かにそういった意味ではインターンとかは一度企業を体験しておくという意味では大事ですね。最近では東大生いわゆる最優秀層の進路が大きく変わってきていて、マッキンゼーとか行かなくなってきているんですよね。

最近の優秀な東大の院生は大手企業からくる案件のPM(プロジェクトマネージャー)とかを任されるんですよ。なので、初職、いわゆるファーストキャリアで昔ながらの「順当な歩み方」をしなくても、大学生でPMなどを経験している分、他とは違うキャリアステップを踏む人が増えているんですよね。

大手の会社の30歳くらいの仕事を学生のうちからやってしまうという。

牛島
そうですね、最近の大学は本当に二極化していますよね、めちゃくちゃ安定志向でその場で思考停止しているか、めちゃくちゃ意識高くて、アンテナはっているかのどっちかですよね(笑)。

古屋
確かに安定志向は多いですよね、しかもそれは学校のレベルに関係ないんですよね。本当に最近のとがった若者のキャリアプランは面白くなっています。まさに商社つまらんからベンチャー、のような。

牛島
よく聞きますね。でもそれアメリカだとそれが逆らしいんですよね、若い優秀な子はスタートアップに行ってそこでさらに優秀な奴が、大企業の役員になるみたいなのを聞きますよね。

古屋
その理由としては、アメリカは基本的に日本のような一括採用ルートがないので、多くがインターンシップ採用なんですよね。だから、いきなり大企業に採用されるというルート自体が狭いんですよね。

そういった意味では日本の就職活動というのは非常に合理的な仕組みでできていてですね、これは世界的に見てもすごいことなんですよね。良し悪しは当然ありますけど、若者の失業率を下げるという点では、非常に効果的であるということは間違いないので。

僕はある種、最初の2020年のキャリア問題について話を戻すとすれば、それはインターン直結採用なんですよね。それで今はインターン直結採用は経団連ルールでダメってなっているのですが。

牛島
え、大学ってダメなんですか(笑)。みんなやっていませんか?

古屋
そうなんですよ(笑)。でも明確にダメといわれているんですよ。一応ルールなので基本的に日本のほとんどの大企業はそういう建前でやっています。

ただ、インターン直結採用を全面解禁することによって、若者はもっと良いキャリア選択ができ、ミスマッチなども減るのではないのかなと考えています。

最後に、牛島さんは2020年以降のキャリアについてどう考えられていますか?

牛島
私は全体として、キャリアの非対称性は薄まっていくのではないかと考えています。今おっしゃって下さったインターン採用とかいろいろな企業がやっているじゃないですか、まさにリファーラル採用やダイレクトリクルーティングとかもどんどん増えていくので、特にリファーラルは素晴らしいですよね。

リファーラルは求人を理解している人が、人材を引っ張ってくるので、ミスマッチが基本あり得ないんですよ。今色々な求人媒体が出てきて、非対称性は薄まり、リファーラルなどの増加でかなりのレベルまで薄まると思います。

ですが埋まっていない部分が2つあると思っていて、それが未経験層とハイクラスだと思っています。未経験層は先ほども話しましたが、実は表に出てこない「ハイクラス」のレイヤーも埋まっていないと思います。

なぜかというと会社のポジションの建前とかいろいろあるので、上に上がりたいとかあるので、なかなか表立って出てこないんですよね、そこはサービスとしての介在価値が高いと僕が勝手に思っています(笑)。

古屋
最優秀層の観点はあまりないので非常に面白いですね、一般的に学びなおしをしている人が増えているのですけれども、隠れキリシタンのように隠れてしまっているんですよね、それでとある大学の先生が聞いたときには半分ぐらいの人たちが黙って学びに来ていると言っていたんですよね。

邪魔されるのが嫌だとか出世に響くとかいろいろな理由があると思いますが、そういうハイエンド層が見えてこないというのはあると思いますね。

色々な見方が出てきてまだまだ、話が止まらないですが、今回はここまででとして、今後とも様々な形で協力できればと思います。本当にお話しできて楽しかったです、ありがとうございました!

牛島
こちらこそありがとうございました!

 

 

株式会社前人未到
代表取締役社長 牛島悟
福岡出身、新卒で大手メーカーに入社。その後スタートアップ、メガベンチャーにてTOPセールス。AI系ベンチャー企業上場を牽引後、起業。

 

一般社団法人スクール・トゥ・ワーク
代表理事 古屋星斗
1986年岐阜県多治見市生まれ。大学・大学院では教育社会学を専攻、専門学校の学びを研究する。卒業後、経済産業省に入省し、社会人基礎力などの産業人材政策、アニメ・ゲームの海外展開、福島の復興、成長戦略の立案に従事。アニメ製作の現場から、仮設住宅まで駆け回る。現在は退官し、民間研究機関で次世代の若者のキャリアづくりを研究する。

 

2020’sの若者キャリア論シリーズ

2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)①
2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)②
2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)③
2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)④