今回は、高校卒業後IT人材の派遣会社に就職し、その後お笑い芸人として活動を行い、現在は株式会社UZUZでキャリアカウンセラーとして活躍されている森川剛さんにお話を伺いたいと思います。
木村:
バイトでキャリアカウンセラーってあまり聞いたことないですよね。だいぶ若い時だと思いますが、当時はいかがでしたか?
森川:
当時は21歳だったのでカウンセリングに来る人はほとんど年上でした。しかも、私自身がまともに就活をしたことが無かったので、最初は何を話していいか分からなかったです。
そこで1年くらい現場でもまれながら、キャリアカウンセリングを続けて正社員になりました。芸人の方は全く芽が出ずに賞レースに出ても1回戦、2回戦落ちというのがずっと続いているような状況でした。
そういう経緯もあり、私はキャリアについて考えるようにもなり、UZUZで正社員になりました。ですが、私もまだ、芸人は辞めたくなかったので「芸人 ✕ キャリアカウンセラー」で行こうと考えました。
面白い芸人は沢山いるけれど、芸人をやりながら、就活やキャリアについてアドバイスできる人はなかなかいないと思い、両立させることにしました。
私は人生の中で大事な軸が3つあると思っていて、1つ目は最初に物事を始めたファーストワン、2つ目はその世界、業界での1番、つまりはナンバーワン、そして3番目のオンリーワンですね。
常にオリジナルであること。それで、私はこの3つ目のオンリーワン軸で勝つしか生き残る道はないと考えていたんですね。この先ずっとM-1などの賞レースを出続けても多分、決勝には行けないと思ったんですよね。
だから、私はその1年間はネタはやらずに就活アドバイザー芸人として活動をしていこうと考えたんですよね。キャリアカウンセリングも、ただ単にバイトとしてお金を稼ぐ手段ではなくなり、どちらも仕事として本気で取り組めるようになりました。なので、キャリアカウンセリングの部分も正社員として活動するようになりました。
木村:
オンリーワンを目指して、掛けるの発想をするのはすごいですね。パラレルキャリアとかそういった考えに近いですよね。
森川:
はい。その時ちょうどパラレルキャリアや副業が世間で騒がれていたので、タイミング的にはちょうどよかったです。なので、ラジオや雑誌などから取材が来て、その時は仕事がかなり増えました。正直ノーマル芸人のままだったら辞めていましたね。
ただ、読みが甘くてそれでも売れなかった理由が、記者の方から就活に関するネタはあるのですか?と聞かれたときに用意をしていないし、一人だとそもそも何もできないというのがあったので、結果的には売れませんでした。
木村:
非常に面白いキャリアを歩まれていますね。ずっと話を聞いていて感じたことが、高校の就活の時から、かなり周りとは違ったキャリアを歩まれていると感じたのですが、ご自身でキャリアを振り返られていかがですか?
森川:
難しいですね。私は後先考えずに行動するタイプなので、就活アドバイザー芸人をやっていた時はライブがあったので、仕事を休ませてもらうことも多かったです。
でも、周りに認めてもらえるように必死にやりました。だから、UZUZで最初の年は絶対営業で1位になると決めて1位になりましたし、休むけど頑張るみたいな、結構ずる賢く頑張った部分も多かったですね。
あと実は、私の周り結構高卒、中卒が多いんですけど、やっぱりその進路って土方だったり、現場仕事が多いんですよね。私はそういう仕事には就きたくないっていうのがあって。
なぜかと言うと、高校生の時バイトで福島の復興支援で大型商業施設の建設現場に行ったんですよ。その時の業務が体力的にものすごくきつくて、その時にこれは10年後、20年後は、続けられないなっていうのが自分の中にあったんですよね。
常に自分のタイミングで興味があることをやったら今のキャリアになりました。UZUZ入ってからも一緒です。最近だと、広報をやりたいと手を上げて、今は同期の広報を手伝っています。
また、地方創生のPR動画なんかもYouTubeにアップしたりと、いろいろな活動をしていて、私の中で高卒だからできないみたいな概念は無く、あったら壊したいっていうのがあるんですよね。
「学歴が無いからこの仕事はできない」みたいなのはつまんないので、基本何でもやります。
木村:
ありがとうございます。すごい行動力と積極性ですね。最後に森川さんの今後の理想の社会人像やビジョンなどはありますか?
森川:
私は、やりたいことをやれている状態が理想の社会人像だと思います。光ファイバーの営業をしていた時もお金に価値観が寄っている人とかも見て、私は自分の好きなことを鉄人のようにやり続けるというのがありますね。
ビジョンとしては、UZUZの中で、非大卒の領域や既卒、第2新卒の領域のキャリア感を変えていきたいですね。私がこの仕事をしていて一番感じるのが「親ブロック」が多いということなんですよね。
現代のキャリア感が変わりつつある中、親が、前時代的なキャリア感を子供に押し付け、就職させようとする。これが結構問題だと感じています。そこを会社や個人は関係なく、テーマとしてやっていきたいですね。
木村:
親のキャリア形成に対するリテラシーを上げるということでしょうか?
森川:
そうですね、親が悪いとは言いませんが、明らかに選択肢を狭めている人たちが多いので、それを変えていきたいです。やはり、今一番ひどいのは高校生の領域だと私は感じています。
自分が身をもって経験しましたので。高校生の可能性を広げていきたいです。辞めた後の道に何があるのかを私と同じで、親と子供は知らないんですよね、だからもっと自由なキャリア形成をできるような社会にしていきたいです。
木村:
ありがとうございます。ご自分の体験を生かしキャリアカウンセラーとして活躍されているお話で非常に面白かったです。本日はありがとうございました!
森川剛さんインタビュー記事一覧
営業、芸人の経験を活かしキャリアカウンセラーへ 前編
営業、芸人の経験を活かしキャリアカウンセラーへ 中編
営業、芸人の経験を活かしキャリアカウンセラーへ 後編