2019年6月6日(木)埼玉県立上尾高校において特別授業を行ってきました。当日の様子をレポートしていきたいと思います。


 
今回、行った4年生のクラスの当日の出席者は年齢もバックグラウンドも様々な23名の生徒たち。担任の先生いわく、全員出席は珍しいらしく、当団体からは3名の講師がお話をしました。

講師は、教育系の事業を行う一般社団法人Foraで働く21歳の工藤理世菜さん、元お笑い芸人という異色のキャリアを持ち高卒就職者では珍しいキャリアアドバイザーの職に就く森川剛さん、そして和歌山県でとび職をしていた経歴をもち、今はIT企業で営業職に就いている龍神尚樹さんです。

1.講師の自己紹介プレゼンテーション

工藤さんは一般社団法人Foraで、大学生や高校生向けに授業を行う仕事をしている21歳。経済的な事情により大学を1年生で中退した後に就職しています。

仕事で授業のファシリテーションなどを行っていることもあり、話は非常に慣れた様子でした。途中で「インドネシアのじゃんけん」というアクティビティを取り入れ「最初は変だなと思ってもやってみる。じゃんけんはこういうものという常識を一度取り外して考えてみると、実は社会には様々な当たり前があるんだよということをわかってほしい」と、わかりやすく生徒たちに伝えていきました。

そんな工藤さんの話の中で生徒が最も反応したキーワードがありました。それはいじめです。工藤さんが自身の体験の中で、中学校時代にいじめを受けた経験があることを話すと「俺も」と、一見するとそれまで深くは聞いていないように見えた教室の後ろにいた生徒たちからも声が漏れていました。

いじめを乗り越えて、今大学生に授業をしているような工藤さんのキャリアパスに、これからのキャリアづくりのヒントがあるのではないかと思わされる、心動く自己紹介でした。
 
二人目に自己紹介をしたのは、森川さん。高校生の就活は基本ハローワークの求人票から探すのが一般的ですが、森川さんは大学生のように「リクナビ」などの民間企業の求人媒体を使って就活をし、その後お笑い芸人になったという変わったキャリアパスを持っています。

芸能事務所に所属し、M-1グランプリに出た時の話など、普通の人からは聞けない話が自己紹介から出てきました。実は、上尾高校4年生のほとんどの生徒は、学校の他に何か仕事をしています。

中には、やりたいこと一本では安定した収入を得ることが難しく、定時制に通い、本業にできる就職先を探しているという生徒もいました。そんな中で、森川さんから出た「夢と安定した職業の話」は、生徒にとても興味深いトピックだったようです。

大手の芸能事務所のオーディションに1人で乗りこみ、その結果、思い切った行動が受け入れられて合格した例など、エネルギー溢れるキャリアづくりの話をしていただきました。「桃太郎」を例に挙げて、チャレンジしていくことの重要性を意外な観点で語るなど非常に興味深い内容でした。
 
三人目に自己紹介をしたのは龍神さんです。時間の都合もあり、シンプルなものとなりましたが、出身地が和歌山県であること、高校を中退してとび職になったこと。その後、一念発起して高卒認定試験に合格したことや、さらに一歩踏み出して、今は東京でIT企業の営業の仕事をしていることを紹介しました。

2.「質問に答えるコーナー」

「学歴のコンプレックスはありますか?」、「面接で困ったこと、こうしておけば良かったということはありますか?」、「仕事を辞めたいと思ったことはありますか?」といった本音の部分で気になりますが社会人に直接は聞きづらい質問から、「仕事を楽しんでいるとは思いますが、ストレスも溜まると思います。そのストレスをどうやって発散していますか?」、「自分の中でこれくらいまでなら頑張れるというキャパシティがあると思いますが、そのキャパシティを超えないように、どう自分の中で整理していますか?また、キャパシティをオーバーした時どうやって治しますか?」といった実践的な質問まで、講師が1つ1つ自分の経験を具体的に挙げながら、丁寧に回答していました。