2019年4月24日に開催された株式会社ハッシャダイと当団体のコラボイベント「高卒人材の就職に関する有識者トークセッション」の様子をレポートとしてまとめました。
今回のイベントでは、官公庁、学校の現場、ビジネスや非営利セクター等、各界の若手キーパーソンによるパネルディスカッションを通じ、もはや避けては通れない日本社会の大きな課題である「高卒就職」について議論を深めました。「高卒就職」について、公開の場で多面的に議論される機会は極めて稀。来られなかった方にもイベントレポートとしてシェアさせていただきます。なお、発言者名については敬称を省略して表記しております。
前回 ハッシャダイ×スクール・トゥ・ワーク公開イベント第1弾 「高卒人材の就職に関する有識者トークセッション」(その1)
古屋:
ここから、パネラーの紹介をします。
米山:
経産省の産業人材政策室で、キャリア教育や、企業の労働環境整備などを広く担当している米山と申します。
鈴木:
文科省の鈴木と申します。初等中等教育局という幼稚園から高校まで、進路指導の担当をしております。また、いじめ対策や虐待対策も担当をしております。一人一社制に関してはいろいろ調べたという経緯がありますので、よろしくお願いします。
新井:
新井晋太郎と申します。現在、埼玉県の川越工業高校の定時制で、地理歴史科と公民科の教員をしております。元々、サラリーマンをやっていましたが、合わなくて辞めました。それからは塾講師をして、大学を3年間通い直して、私立高校に非正規で3年間働いてクビになりました。その後、東京の中学校で3年間働いて、自分がキャリアで悩んだので、キャリア教育をしたいということで、埼玉県の高校を受け直して、今4年目です。今は高校3年生の普通科で担任しています。15人生徒がいまして、1人が大学受験、残り14人は100%高卒就職するっていうことで、すごくキャリア教育に関心があります。よろしくお願いします。
勝山:
株式会社ハッシャダイの勝山と申します。ヤンキーインターンができるきっかけとなった元不良と書いてありますが、最近、経歴詐称問題とかで話題になっていて、元不良や中卒ってワードをあまり使いたくないですが、事実として、非行に走っていた時がありました。
実は、ハッシャダイは嫁の兄が経営している会社で、私はその嫁の兄に救ってもらった経緯から京都から東京に出てきております。現在は同じような経験をしてきた少年院の子供たちや、児童養護施設の子たち、高校生に対して自分の人生を自分で選択しようという言葉をテーマにキャリア講演をさせていただいております。よろしくお願いします。
山田:
株式会社インフラトップというDMM WEBCAMP というプログラミングスクールを運営している会社で人事をしています。山田と申します。所属としては、親会社のDMM.comの人事に所属をしていて、半常駐ぐらいの形でインフラトップの方にコミットしています。また、DMM.com関連の他のスタートアップ何社かの人事とかも兼任しながらやっているという状況です。
2月にハッシャダイさんから、インターン生1名をご紹介いただいて、今インフラトップで採用して、20歳の男の子が働いているという状況でございます。人事目線や、ビジネス側の視点の方の話とかを今日は求められていると思っているので、その辺の話ができたらと思っております。よろしくお願いいたします。
古屋:
私は今回のイベントの主催をさせていただいているスクール・トゥ・ワークの代表理事をしております古屋です。スクール・トゥ・ワークは社外活動的にやっていて、本業ではリクルートワークス研究所というところで、次世代の若者のキャリア形成の研究をしております。本日はよろしくお願いします。
私は、高卒就職というテーマのディスカッションをオープンな場でやるのは、今まで無かったんじゃないかなと思っています。大卒の人たちがキャリアについてトークセッションをするのは、今までいくらでもあったと思うんですよね。しかし、そこに高卒の方が加わっただけでこんなにレアになるのかと感じています。
まず、最初にハッシャダイさんの活動をどんなことをされているのか、勝山さんお願いします。
勝山:
今日の会場は弊社の「ハッシャダイカフェ」でもあります。皆さん来ていただいていますので、簡単にハッシャダイの紹介をさせてください。ハッシャダイでは、中卒、高卒の若者たちの選択格差、機会格差を解消するというのを主に事業としてやっています。
ここは、ハッシャダイカフェというところなんですけれど、基本的に24歳以下の若者であればドリンクが全て無料で飲めたり、進路相談ができたりするというところです。教育関係者の方や、教育にまつわる企画であれば基本的にここを無料で貸し出しています。
選択格差、機会格差は若者たちにどのようなものがあるかというと、4つあると思っています。学歴格差、地域格差、情報格差、経済格差。この4つの格差を選択格差と私たちは言っています。中卒、高卒の若者たち、特に地方にいる若者たちは、こういう格差に悩まされているのと、私たち創業メンバーも格差をすごく感じていたということから、これを是正したいという想いで事業をやっています。
私たちはその格差を無くすのに一番重要だと思っているのが移動だと思っています。移動が格差を破壊すると思っていて、その人が変わる要因みたいなものってたくさんあると思うんですけど。私自身も非行に走っていたという話を先ほどしましたが、生まれた環境によって選択できないとかっていう子たちをたくさん見てきたました。周りには少年院に行ったりする子がいっぱいいます。
少年院の子たちとかは、少年院出てから2、3日はすごく良い子というか、普通に更生しているんですけど、一週間たったらまた、同じように再犯繰り返したりする子が結構いるんですよね。この原因は、コミュニティ依存してしまっている若者たちが多いと思っています。タコツボ化って言うんですかね。私自身も、京都から東京に出てきて、家族とか友達に一番言われたのが、顔つき変わったよねとか言われたりするんですよ。若者たちを移動させてあげて、自分たちのコミュニティから抜け出させてあげることで、また、違う文化や、違う当たり前みたいなものに気付いてもらい、自分のやりたいことや新しいことを見つけてもらうということで、事業を行っています。
一つ目が、「ヤンキーインターン」という事業です。都心体験型インターンシップと呼んでいて、地方にいる18歳から24歳の若者たちに食・職・住を全て無償提供して、大卒者と変わらない選択肢を提供するっていうのを基に、ヤンキーインターン事業をやっています。
もう一つが、「トラベルインターン」と呼んでいて、都心体験型インターンシップでは、半年間、シェアハウスに住んでもらって研修するんですけど、心理的にも非常にハードルが高いので、中卒、高卒の中でも意識の高い子たちであったり、一度ブルーカラーの仕事を経験して挫折をしたりとか、すでに変わりたいと思うようになった子たちが来ているんですよね。ですが、そういう子たちってごく少人数で、私たちが本当に変えてあげたいとか、機会提供をしたいと思っている若者たちにはまだ、届けられていないということで、この事業を始めました。「移動就労型遊学事業」と呼んでいて、主に沖縄であったりとか、北海道の観光産業であったりとか。長野県の鯖江と言われる伝統産業みたいなところを就業先として連携させていただいて、若者たちがこれまで自分の力だけではできなかったような移動をさせてあげる。それで、働きながら学ぼうよとか、遊びながら学んでみようよっていうのをコンセプトに、皆に「移動体験」を提供しています。
また、こういうカフェとかでいろいろと勉強会とか、キャリア研究会みたいなものとかをやって、若者たちの進路選択、中卒、高卒学歴の若者たちが進路選択をしっかりできるような環境っていうのを作っていくっていうのを基に事業をやらせていただいております。本日はよろしくお願いします。
古屋:
ありがとうございます。早速パネルディスカッションの方に入っていきたいと思いますが。今日は、テーマを5つ用意していて、パネルディスカッションの後とかQAセッションという、インタラクティブなセッションもやりたいと思っています。皆さんも、テーマを見ながらしっかりと言いたいことを整理してもらえればと思っております。もちろんパネラーの皆さんも、テーマを見ながら私が雑談している間に、自分の思考を整理しておいてもらえたらと思っていますので、よろしくお願いします。