今回は、高校卒業後IT人材の派遣会社に就職し、その後お笑い芸人として活動を行い、現在は株式会社UZUZでキャリアカウンセラーとして活躍されている森川剛さんにお話を伺いたいと思います。
木村:
よろしくお願いします。森川さんのキャリアについて早速お伺いしたいのですが、まず、最初に高校の時の進路選択の時と初職について印象に残っていることなどを教えてください。
森川:
私の初職はIT人材の派遣会社で、配属された営業の部署は私を含めて3人しかいない小さな会社に就職しました。
私は高校生の就活は闇だらけだと思っています(笑)。ほとんどの求人が製造や飲食などで、希望する企業は1、2社しか出せない。そして、面接を受ける企業は基本的に内定辞退はNGで、必ずその会社に就職しないといけないみたいなところがあるじゃないですか。私はそれがすごい嫌だなと思っていました。
なぜなら、私は学年で成績が下から2番目とかだったので、先生から紹介される求人もいいのが全然無かったんですよ。製造とか、自動販売機のジュースを集める仕事とか、全く興味のない仕事ばかりだったんですよね。なので、学校の求人は受けませんでした。
皆さんが使っているような普通の民間の求人媒体を使って探しました。そしたら、先ほどの会社が見つかって就職が決まりました。仕事内容としては、IT人材を派遣する事業の営業マンとして働いていました。
木村:
そうなんですね、私も高卒なので似たような就職活動だと思うのですが、企業の探し方として、周りに民間の媒体を使って就職する人はほとんどいなかったのですが、千葉とかいわゆる一都三県とかの人たちは、民間の媒体を使う人が多いのですか?
森川:
私の学校は就職する人が少なかったので何とも言えないのですが、でも使っている人は少数ですがいたような気がします。
私の学校もみんな進路相談室にある、求人票から選んでいましたね。でも私は漠然と営業の仕事がやりたかったのでその道を選びました。
理系とかではなかったし、頭も良くなかったのですがスーツを着て仕事がしたいと思っていました。それで学校で営業の求人を探したのですが、無かったのでネットで自分で検索して応募しました。
小さい会社だったので社長が面接をしてくれました。33歳くらいの若い社長で同じ千葉の出身ということでかなり話が盛り上がって、面接に来てくれただけで嬉しいというくらい会社側も採用に困っていたので受かりました。
木村:
そうだったんですね、では、周りの高校生とは違った就活を行っていたんですかね?
森川:
そうですね、私の就職が決まったのが2月だったんですよ。なので、ずっと先生からはお前あと一ヶ月で卒業なのにどうするんだ、みたいなことをずっと言われ続けてましたね(笑)。
木村:
2月は相当遅いですね、普通の高校生とかって夏に企業見学が終わって、9月、10月にはみんな会社が決まるんですけど、その期間はどうされていたんですか?
森川:
私は一切やっていなかったですね。みんなが面接練習とかやっていても、当時は何もしていなかったです。それくらい危機感無く何も考えていなかったですね。
でも、その時から実は芸人の道は考えていました。でもさすがに、芸人だけで食べていけるっていうほど甘くは考えていなかったので、芸人として失敗したら私の人生終わりですからね。
頭も良くなくて、仕事もあまりしたことなくてみたいな大人になったらと思うとその時は怖くて芸人の道は選べなかったですね。
木村:
IT人材の派遣の営業の仕事はどんな仕事内容だったんですか?
森川:
職務内容自体はSESの営業をやっていて、IT人材をプロジェクトや業務にアサインさせていくのが仕事ですね。なので、本当に派遣会社のIT人材版みたいな感じです。
木村:
高卒ではかなり珍しい職種についたんですね。ちなみに入社当初の印象とかってありますか?
森川:
そうですね、小規模なので研修とかがなく、ひたすらOJTで仕事をしていくという感じだったんですけど、入社してからは本当に何も分からなかったです。
とりあえず日報を出せと言われても、業務進捗の「進捗」という文字すら読めない、パソコンの使い方も分からない。そんな状況から始まりましたね。
最初は仕事が出来なさ過ぎてあきれられていましたね。しかも、そのくせに必ず定時で帰るので(笑)。仕事できないくせに相当生意気な感じでしたね。
当時を振り返るとその時は相当マインドが低くて、営業でアポイントが取れたら一人で行っていいよと言われたので、それを口実に外出したら時々さぼっていたりとかもしましたね。
なので、仕事に対して、モチベーションも全くなく、スーツ着て仕事ができれば良いぐらいしか考えていなかったですね。
木村:
そうなんですね、話が若干戻るのですが、進路を選ぶときに他の道を選ぼうとは思わなかったのですか?また、他にどんな企業に興味を持っていましたか?
森川:
別にITだからどうこうではなくて、ただ営業がやりたかったので、そこの会社に志望しました。
木村:
待遇とかは考慮しましたか?
森川:
いや、一切見ていないですね。でも、東京で仕事がしたいという気持ちが強かったのと、高卒で手取りで20万円弱もらえていたので不満もなかったですね。
東京ってお笑いの劇場がたくさんあるんですけど、たまたま仕事をさぼっていた時に新宿の劇場に入ったんですよね。
そこでお笑いライブがやっていてたので見てたら、結構面白かったんですよね、芸人の方たちってお金は持っていないけど、すごい目がキラキラしているんですよね。
そこで私は感化されて、芸人の方を見ていると自分のやりたいことをやっているのに、俺は何をしているんだと感じました。
自分のことを振り返れば、惰性で働いて、ごまかしながらやって仕事をしていたので、それを10年後、20年後も同じなのかと考えた時に嫌だと思ったんですよね。だったら、仕事は辞めようと思って、2日後に辞めました。
森川剛さんインタビュー記事一覧
営業、芸人の経験を活かしキャリアカウンセラーへ 前編
営業、芸人の経験を活かしキャリアカウンセラーへ 中編
営業、芸人の経験を活かしキャリアカウンセラーへ 後編