一般社団法人スクール・トゥ・ワークの設立を記念して、当団体の活動の目的と背景を知ってもらうために、当団体の代表理事の古屋さんと、事務局スタッフで今、一部のネットで話題の非大卒人材の奥間さんと、座談会形式で、今後「変わる?学校から仕事への第一歩」の連載をお送りしたいと思います。

小松
皆さん、よろしくお願いします。ファシリテーターは、スクール・トゥ・ワーク監事の小松裕介が務めさせていただきます。私は、元々、伊豆シャボテン公園グループの企業再生や上場会社の代表取締役社長をしていましたが、現在は、株式会社スーツで経営コンサルティングをしています。

年齢は36歳のアラフォーで、出身は横浜です。地方での勤務経験は静岡県伊東市に企業再生のため5年ほど住んでおりました。それでは、古屋さん、奥間さんも自己紹介をお願いします。

古屋
古屋星斗です。当団体の代表理事を務めております。経済産業省に入省し産業人材の育成や成長戦略づくりに取り組みました。現在は職を転じて、若者の多様でおもしろいキャリアづくりを実現するために研究や実践を行っています。

世界で一番若者の少ない21世紀の日本を、世界で一番若者のおもしろい国にするのが夢です。ちなみに、出身地は、夏は非常に暑いことで有名な、岐阜県多治見市です。冬も寒く、帰省すると毎年悶絶して帰ってきます。 奥間さんどうぞ!

奥間
当団体の事務局スタッフを務めている奥間蓮です。沖縄生まれの22歳で、非大卒人材の一人です!高校を卒業してから2年前まで大阪で鳶職をしていましたが、現在は株式会社スーツで2年目のアソシエイトとして仕事と勉強に明け暮れています(笑)。

よろしくお願いします。

異彩のキャリア!

小松
少しだけ奥間さんの上司として補足説明をさせてください。 スーツ社ですが、経営コンサルティング企業と表現しましたが、具体的には、時価総額100億円以下の中堅・中小企業やベンチャー企業などの経営支援をしています。

当社は、「経営を科学すること」が仕事ですので、鳶職でも、高学歴でも、科学の結果は変わらないという考えのもと奥間さんを採用しました。

奥間さんが就職して1年少しが経ちましたが、鳶職から経営コンサルタントにジョブチェンジをしまして、今は経営コンサルタントとしてクライアント企業の上場準備などの業務をしています。今の日本には、なかなかないキャリアかもしれません(笑)。

古屋
仕事柄いろいろな若者と話しますが、鳶職から上場準備という話はさすがに聞いたことがないですね。日本をはじめとして、最終学歴が就く仕事を縛ってしまっているのですが、実は若い方のたくさんの可能性を殺しているのではないか、というのが私の大きな問題意識です。奥間さん、実際に経営コンサルタントの仕事をしてみてどうですか?

奥間
主に身体を使う仕事から頭を使う仕事へと大きくジョブチェンジをしてみて、最初の頃は何ひとつ言葉の意味が分からずで、外国へ来た気分でした(笑)。

しかし、分からないままで終わらす訳にもいかないので、ひとつひとつ必死に勉強していくことで1年前まで外国語のような専門用語が少しずつ理解できるようになり、自分のスキルへ変わっているなと実感しています。

小松
・・・と、話が少し広がってしまいましたが、このような三人でブログの連載を進めてまいりますので、楽しんで読んでいってもらえればと思います!

スクール・トゥ・ワークについて

小松
さて、最初に、古屋さんに、一般社団法人スクール・トゥ・ワークについて、組織の概要と活動内容についてお聞きしましょうか。

古屋
そうですね。私たちスクール・トゥ・ワークは、若者と若者の対話型授業を通じた非大卒人材を中心とした若い方々のキャリア観の醸成によって、新しい時代の中で、「学校から仕事へ」のステップがどうなっていくのか、考えていきたいと思っています。

もちろん、この疑問に正解はありません。しかし、学校での授業や企業との対話を通じて、この疑問に対して最も具体的な選択肢を指し示せる集団でありたいと考えています。

小松
AIの普及であったり、日本は未曾有の人口減少であったり、本当に不確実性の高い時代だと思います。スクール・トゥ・ワークのキャリア教育事業において「若者が若者を教える」とした理由と非大卒人材について追加で教えてもらえませんか?

古屋
教育という場のあり方は、一斉教授方式という中世ヨーロッパのやり方からほとんど変わっていません。そんな中で、今後の世の中はモノローグからダイアログの時代だと言われています。

イメージとしては偉い先生の独白(モノローグ)から、一緒に話して考えを深める対話(ダイアログ)へ、ですね。若者が若者を教える、としたのもその方がキャリアについて親近感もわき、対話が進むからです。

そして、自分の進路について対話をしながら考える機会が圧倒的に少ないのが、高卒就職者です。日本社会は、彼らを最大限活躍させられていないと思います。人手不足の中で、今こそ彼らは「金の卵」なんです。

小松
学校の先生一人に対して、生徒が複数というのは中世からのやり方なんですね。知りませんでした。確かに、自分の経験ですが、数学のような明確な回答がある問題はさておき、答えのない質問については、年齢が近いほうが納得度が高いように思います。

年齢の離れた先生が言うとやけに説教臭く聞こえたりして。(笑)非大卒人材は高卒就職者以外にはどのような人がいるのでしょうか?

古屋
大卒・大学院卒が目立ちますが、世代あたりの最終学歴でいえば半分くらいは大卒・院卒ではありません。高校卒以外ですと、なかでも一番多いのが、専門学校卒の方々。そして最近は減少していますが短大卒、年およそ1万人しかいないエリート集団である高専卒、少数ですが中学卒と、非常に多様な世界が広がっていますね。

小松
大卒・大学院卒が半分ということは、非大卒人材も半分ですね。スクール・トゥ・ワークでは、この非大卒人材を中心とした若者のキャリア教育をやるわけですね。

次回から、具体的に、統計データのグラフなどを基にディスカッションをして、スクール・トゥ・ワークの活動の目的と背景を明らかにしたいと思います。

 

「変わる?学校から仕事への第一歩」連載シリーズ

第1回 はじめに
第2回 大卒人材と非大卒人材の分断 前編
    大卒人材と非大卒人材の分断 後編
第3回 高校生の就職制度
第4回 高卒の就職率
第5回 「七・五・三」現象
第6回 離職した若者はどこへ行くのか
第7回 現在のキャリア教育
第8回 ハローワークの役割
第9回 地域格差
第10回 就職先企業の規模
第11回 初任給の格差
第12回 スクール・トゥ・ワーク