工藤理世菜さんは東京都出身の21歳。大学を1年で中退したのち、大学時代からインターンシップをしていた職場で正社員として、なんと大学生向けのファシリテーション講座を主催しています。インタビューでも心を動かされる言葉がたくさんありました。

前回 「本気で向き合いたいときに、何かを手放す」こと 中編

偶然のようで必然

古屋
今の仕事で、大変なこと、楽しいことなどお話聞きたいです。

工藤
大変なのは、勉強法が分からないことですね。自分にあった勉強法がわからない。テキストへの向き合い方がわからないんです。

例えば、仕事上でカラーコーディネータの資格を取ろうとしたときに、勉強して記憶することができない。何から手をつけていいか分からないのですね。

少なからず、大学受験やテストに向けた勉強をしている人は自分なりの方法を身に着けているので違うのかなと。

うれしいのは、一緒に作り上げたものを大学生に講座として届けて一通り終わったときに、大学生は泣きながら「この講座受けてよかった」、「みんなで同窓会したいね」と言っていたんです。

自分の力で、コミュニティを作り上げていけることを体感するときに、そういう機会を作り出せたのが本当にうれしいです。出会いは偶然のようで必然なので。

また、高校生に授業をするときに「どんなことをやりたいの」と聞いて、「本当にやりたいことってなんだろう」と話をして、次のアクションにつながることに携われた時もとてもうれしいですね。

特に、Foraの方々は、「できないなら色々な人と一緒に作っていけばいいじゃん」「まずはやってみたらいいじゃん」となるので、とても前向きに取り組むことができています。

代表の藤村さんにはとてもお世話になっています。「学歴無いから」と不安をつぶやく自分の相談にずっとのってくれました。「理世菜はできる」と言い続けられて。できるまで付き添ってくれました。

「学歴」を手放すことで得たもの

古屋
周りの人の支えが、自信につながっていますよね。工藤さんにとって、一番大きかった決断はなんだったでしょう?

工藤
いろいろありますが、やはり、去年大学に行かないという決断をしたことです。その決断にも色々な出来事があり、大きかったのは法政大学の安田先生に「あなたは、それだけやりたいことがはっきりしているんだから、大学じゃなくて、大学院じゃない」と言われたことです。

「大学に行かない」と割り切った瞬間から、自分のやりたいことに全力コミットができるようになった。「本気で向き合えるようにしたいときに、何かを手放す」ことがとても大事だと思いました。

でも悩みました。「〇〇大学に行っています」、という学歴がある自分と無い自分とを比べて想像して。学歴が無いというだけで自分は劣っていると感じることもあり、焦りもあったんです。

でも、経験を積んでいくことで「そんなに変わらないのでは」と思えてきています。

古屋
5年後はどんな姿でいたいですか。

工藤
学校の先生とつながっていたいです。ファシリテーション講座を学校の先生にやりたいです。先生のファシリテーション能力はとても高いけれど、自覚していない先生も多いので、その先生方のノウハウをベースに若手に継承していきたいですね。

ベテランの先生と若手の先生をファシリテーションでつなぐというような。

古屋
どんな職場も、世代交代がうまくいかないことが悩みですから、教育現場にとってもとても意味のあるものになりそうですね!

では、最後に、若い世代の方々へのメッセージをいただけますでしょうか。

工藤
「こうじゃないといけない!」というのは単なる思い込みのことがあります。何かしてみたいということが見つからなくてもいいから、まずは一人話せる人を見つけて、自分の思いを語ることが大事だなと思います。

「何もやりたくない」と言っている高校生に「寝るのは好き?寝心地のいい枕があったら良くない?」と言ったらとても盛り上がったこともあります。

自分から勇気を出して話せば、「好きなこと」、「やりたいこと」は誰にも絶対にある。何でもいいので、好きなことについて一つ調べてみようと。それが伝えたいことですね。

古屋
「自分の思いを語ること」・・・劇団や討論会、そして今のお仕事で人の前でお話したり表現することを積み重ねて来られた、工藤さんらしいメッセージですね。本日は、ありがとうございました!

 

工藤理世菜さんインタビュー記事一覧

「本気で向き合いたいときに、何かを手放す」こと 前編
「本気で向き合いたいときに、何かを手放す」こと 中編
「本気で向き合いたいときに、何かを手放す」こと 後編