工藤理世菜さんは東京都出身の21歳。大学を1年で中退したのち、大学時代からインターンシップをしていた職場で正社員として、なんと大学生向けのファシリテーション講座を主催しています。インタビューでも心を動かされる言葉がたくさんありました。

前回 「本気で向き合いたいときに、何かを手放す」こと 前編

本人:写真右下

デフォルトで「先生になるんだ」と思っていた

古屋:
劇団もやっているのですよね?

工藤:
そうですね。母親がミュージカルダンサーだったこともあり、演劇を高校生からやっています。高校2年に先輩が劇団を立ち上げた時に一緒に参加しました。

劇団ファミリアという名前です。そんなこともあり、人前に立って思いを伝えようとするというのを大切にしていますね。

古屋:
高校時代にお世話になった先生はいますか?

工藤:
大好きな先生がいました。1年生のときの担任ですが、自分の人生を変えてくれた先生です。私は小中といじめられていたので過去を振り返るのが怖かったんです。私の高校には「人間学」という授業がありました。

「人間とは何か」からはじまる変な授業なんですが、いろんな価値観を知るということをやります。その担任の先生はその授業も担当してくれて、「アイデンティティの確立」という授業があって、自分自身を見つめなおすのが恐怖だった自分は向き合えなかったんです。

そこで、その担任の先生が夜、帰宅時間の19時30分までずっと聞いてくれたり、ホワイトボードを使って書き出してくれたとか、一人の人間として向き合ってくれたんです。

その先生がいなかったら過去と向き合えなかっただろうし、今の自分はなかったと思います。特に、「本当のお前はどうなんだ」と良く聞かれて、それはすごく記憶に残っています。

古屋:
素晴らしい先生に出会って、素晴らしい経験もして、そして大学に入学したんですね。

工藤:
そうですね。もともと大学に行こうと思ったのは、幼稚園のころから祖母から「公務員になりなさい」と言われていたことがあります。「先生になれ」とも言われていて、高校2年までデフォルトで「先生になるんだ」と思っていたんです。

でも高校3年生頃から、ブライダルプランナーになりたい、企画づくりで人の幸せを形にするのが好きだから、と思い出して。だから、先生にもブライダルプランナーにもなれる学校としてフェリス女学院に入学しました。

OGにブライダルプランナーが多くて、教職も取れたんですね(笑)。そうして、キャリアを考えたうえで大学は絶対行くものだと思っていたんです。

大学にいかないとその先のキャリアがないと思い込んでいて。高校から奨学金を借りていたんですが、大学も借りました。それでも抵抗はありませんでした。

本人:写真右中段

社会人大学院にいきたい

古屋
大学時代はどうでしたか?

工藤
大学に入ってすぐはキラキラした女子大生生活を想像していました。しかし入ったら、授業は眠い、みんな寝ている。やっぱり「自分のやる気があればまわりなんて関係ない」訳ではないですよね。

だから、落ち込みました。単位も一生懸命とっていたけど、辛い授業、なんでやっているかわからない授業は全くやる気も出ずギリギリ出席でギリギリ単位だけとっていました。

大学には何とか1年は行っていたんですが、結局学費が払えないという話になってしまい退学に。その後、2年間は入学金半分で再入学できると言われましたので、当時は大学にすぐ戻る予定でやめたんです。

ただ、去年の6月に自律神経失調症になって、頑張らなくてはならないプレッシャーで3か月くらい休んだことがありました。そのときに、大学になぜ行くのか、と思い直しました。

Foraにいて、学校の先生ができる部分とそうでない部分がはっきりとわかってきましたし、そこに関わることの楽しさを知ったので。なので、大学時代から2年くらい働いていたForaで正社員に誘っていただけたので半年前から正社員として働いています。

古屋
2年インターンシップをした職場で、いま正社員として働いている、というような感覚なのですね。アルバイトもたくさんしましたか?

工藤
たくさんやりました。高校時代から、ドラッグストア、寿司屋、塾の講師、ステーキ屋さん、イベント会社とやってきました。最初のドラッグストアが一番楽しかったですね。社会にはじめて貢献できた気がしました。

寿司屋では、店長が一回きてくれたお客さん、ボトルをキープしてくれたお客さんの名前を顔を見ただけで絶対に当てるんです。これがすごくて、何とか自分も覚えたいと思って。

ラベルと顔を交互に何十回も見て、顔のイラストも描き、そして自分もボトルキープしたお客さんの名前を呼べたとき、それで喜んでもらえたときはめちゃくちゃ嬉しかったです。

古屋
そのアルバイトと並行して、Foraでも仕事をしていたのですよね。

工藤
そうですね。Foraも、最初は就職するつもりは全くなかったんですが、去年の11月に大学を行かないと自分で決めて、はじめて正社員を意識しました。大学も、大学院に社会人入試で入学すればいいと思っていますし、何年か後には社会人大学院に行きたいと思っています。

なんとなくの大学の4年間って若い時期で一番多感な時期で、一番吸収できる時期、なのに漫然と通ったら本当にもったいないと思って。若いというだけでいろいろな出会いが貰えますし。

 

工藤理世菜さんインタビュー記事一覧

「本気で向き合いたいときに、何かを手放す」こと 前編
「本気で向き合いたいときに、何かを手放す」こと 中編
「本気で向き合いたいときに、何かを手放す」こと 後編