2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)③

2020年代の若者キャリアはどうなっていくのか。今回は、非大卒向けキャリア支援サービスの「サムライキャリア」などを運営する株式会社前人未到の牛島悟さんと対談します。

前回 2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)②

古屋
若者の行動の変化についてお話を伺いましたが、次に高校生の一人一社制についてはどう考えていらっしゃいますか?実は今、文科省と厚労省で一人一社制の見直しが始まっていまして、今、見直されている理由として、毎年出ている国家全体の戦略というのがあるのですけれども、こちらに一人一社制は見直せと書かれているんですよ。この問題についてどうあるべきだと思いますか?

牛島:
私は一人一社制はないほうがいいと思います。理想だけを言うなら教師のリテラシーを上げないといけないと思います。生徒がどう思うかというと、やはり、一番身近な大人なので、「まともなことを言っている」と子どもは思うんですよ。

だから疑うことなく就職をするのですが、それがミスマッチに繋がっている原因になっている。学校教育のプログラムで東京に行ってインターンを行うなどの都市体験学習とか、そういうのを必修で行ったりすると子供たちも自らの進路を考えるようになって変化が出てくると思うんですけどね。

古屋
そうですね、実はそこがすごく問題点でして、地域に人を残さないといけないという議論がされている。地方の若者をどれだけ東京に行かせないかという議論です。

全国の割合でいうと首都圏の高校生は全体の30%弱を占めていて、それが大学になると40%、就職1年目、つまり新卒者になると首都圏では50%になると言われています。今の議論でいうと、いかにこの何十%の若者を地方に帰らせるかというのがあります。

あと、もう一つあるのが、いかに首都圏の大学に行かせないようにするかも議論されています。結構この声が政治的にも非常に大きいんですよね。

牛島:
地方創生の考えですよね。

古屋
そうですね。「移動」とは、全く逆の発想になっているので、僕は折衷案としてエリア内移動などを促すようなプログラムがあるといいと思っているのです。

いきなり東京ではなくて、地方の主要都市への移動。仙台や福岡なんかは比較的ITベンチャーなども多いのでいいかと思います。

牛島:
いきなり東京ではなくても、人材の流動化を図る形ですよね。あと私が非常に思うのが、高校の就職活動に民間が入れないのが良くないと思うんですよね。

当社は直接はしていませんが、やりとりがハローワークと学校の先生しかできないので、もし、そこの方々が悪い人だったら生徒に「お前ここに行け」と、強制感を持って発言することもできるわけじゃないですか。

それで、結果的に早期離職率などの数字を見ると失敗しているじゃないですか。サービスの民営化は歴史的に見ても質を大きく発展させているので、どういう形でもいいので入れるべきだと思うんですよね。硬い公的資格を新たに設けたりするなど、いくらでもやり方はあるので。

古屋
実はこの議論が確か2003年ごろ小泉政権下で行われているのですよね。規制改革の議論がされているときに、八代先生という有名な経済学の先生が言っていて、高校の卒業者の就職マーケットが50年くらい変わっていないと発言をされたんですよ。

そしたら、それを機にもっと民間の力を借りて発展させるべきではないかという声が民間団体から提言されまして、それに八代先生と小泉政権がそれに乗っかって、厚労省をかなり詰めたんですよ。

その時の厚労省の課長の回答が、「規制はしていません。法律上はOKです。」と言っているんですね。ですから、民間参入は実は大丈夫なんですよ。

ですが、結局ハローワークと学校の構造があるので、民間が入るのは難しいんですよね。厚労省も、構造を変えるとは言っていない。ですが結局、議論が「OKですよ、どうぞやってください」で終わってしまったんです。

最初の問題提起は、「このマーケットを変えなさい」という行政への問題提起だったのに、「どうぞやってください」が回答になっていて、問題がすり替えられているんですよね。

結果15年たった今も、80%以上の高校生が、ハローワークを経由して就職をしていますので、構造は全く変わっていません。ハードルが非常に高いので民間は誰も参入できずに終わってるんです。

ですが最近になって、御社やハッシャダイさん、ジンジブ(高校生向け求人サービス会社)さんなどの多くの会社が参入するようになってようやく変わるのかなと思っています。

牛島:
そうなんですね、実は当社は新卒を扱っていないんです。応募は結構あって、ニーズも高いんですが行っていない理由が3つあって、一つが親御さんの理解とかが難しく最後の後押しが構造上しづらいということ。

もう一つは企業側のネックがあって、企業側が法律違反だと思っていることが非常に多いんですよね。そして、もう一つは未成年というのが一番大きいです。

実は18歳、19歳ってほとんど求人がなくて20歳から一気に増えるんですよね。あとは、この子たちをどう扱っていくか、というのを企業側が分かっていないんですよね。

古屋
そうなんですね、未成年のところはもしかしたら民法改正がきっかけで変化があるかも知れませんね。ですが、ハッシャダイさんとかも新卒をやっていないですもんね。

牛島:
そうですね、でもやっぱりビジネスとして成り立たせると考えると難しい部分が多いですよね。やっぱり参入しない理由としては、ビジネスとして儲からないというのと、工数がめちゃくちゃかかるというのが最大の理由だと思います。

この工数がかかる部分は誰でもできるというわけではないのがポイントだと考えています。なぜなら、彼らは、まだ成熟していないので、言語化能力が発展途上な部分があるのでそこを支援してあげないといけない。

自分の考えていることとかを伝える能力がまだ発達途中で、自分の強みを引き出す能力がまだないので、この引き出すのを大人が手伝わないといけないんですよ。

そこは、ハイクラスの子たちとかは逆に何もしなくていいんですよ、求人を紹介するだけで勝手に進んでいくので。それをピンポイントでバシッと決めてあげればいいんですけど、僕らが相手にしているところは、過去の経験から自分が一番大事にしているもの今の時点で何なんだろうかっていう現在地点と将来の理想というのをすり合わせるところから入ります。

これは、教える側のレベルが高くないと無理なんですよね。僕らのところはそれがたまたまハイクラスではまったっていう感じですね。

株式会社前人未到
代表取締役社長 牛島悟
福岡出身、新卒で大手メーカーに入社。その後スタートアップ、メガベンチャーにてTOPセールス。AI系ベンチャー企業上場を牽引後、起業。

一般社団法人スクール・トゥ・ワーク
代表理事 古屋星斗
1986年岐阜県多治見市生まれ。大学・大学院では教育社会学を専攻、専門学校の学びを研究する。卒業後、経済産業省に入省し、社会人基礎力などの産業人材政策、アニメ・ゲームの海外展開、福島の復興、成長戦略の立案に従事。アニメ製作の現場から、仮設住宅まで駆け回る。現在は退官し、民間研究機関で次世代の若者のキャリアづくりを研究する。

 

2020’sの若者キャリア論シリーズ

2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)①
2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)②
2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)③
2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)④

2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)②

2020年代の若者キャリアはどうなっていくのか。今回は、非大卒向けキャリア支援サービスの「サムライキャリア」などを運営する株式会社前人未到の牛島悟さんと対談します。

前回 2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)①

古屋
興味深いです。若者のキャリアを研究していて、最近若者のキャリア観がかなり変わってきていると思っています。ですが、大企業の人事とかがそれに追い付いていけていないと思っています。ある大手商社なんですけど、20代が退職しすぎていて、そしてその多くがベンチャー企業に行くというのを聞きます。

でも、企業の人事の偉い人はなぜ辞めていくか分からないそうなんです。大手商社さんなんかは30歳時点の平均年収が1,000万円前後ですし、ベンチャーに行くと2割から3割以上下がるのになぜ辞めていくか理解ができない。

ただ、辞めていく彼らに話を聞いていくと明らかに合理的な理由で辞めていくんですよ。理由は、ずばり「安定志向」。自分のスキルを様々な場所で身に付けることによって、それが安定につながると彼らは答えるんですよ。
 
牛島
私もそのお話はあると思います。私は「時間軸」で見られていないっていうのが問題だと思っています。
 
古屋
そうですね。また、もし商社に100%フルコミットではなくて、他に20%その他にも20%みたいな選択肢があれば若手の選択は異なると思います。つまり、今の大企業がやろうとしていることは、若者に「国債を100%買え」と言っているようなものなんですね。

大企業だけでキャリアを作るという国債のような長期安定的だけどあんまり期待ができない仕事を。投資家で国債だけ買う人は馬鹿ですよね(笑)。

普通は、「国債も2割買うけど、JASDAQの株も2割買って」みたいな、その発想に近い感覚が出てきているのではないかと。大企業はそういう子たちに対して阻むことはするのですが、応援するということはしないんですよね。

そして、優秀な人材をため込んでいて非常にもったいない。私はその中でももったいないなと思うのが高卒の子たちで、毎年17万人くらい就職しているのですけれども、その内の4割が3年以内に離職してしまうんですよ。

それが凄くもったいないなと思っていて、よく女性の方やシニアの方たちの活用は世間で言われるんですけど、「人材の第3の埋蔵金」だと私は思っています。
 
牛島:
当たり前ですが、仕事において大事なものは学歴ではなく経験じゃないですか。高卒の子たちってファーストキャリアにおいて、サービスの高度化が起きていないっていうのが最大の要因だと思うんですよね。

少し適当な例えですけど、高卒の子が草取りの仕事をしていて、大卒の人は営業に行きます。これだと、営業の人は草取りもできるじゃないですか。でも、草取りの仕事の人は営業はできないんですよね。それでこの二人を比較すると、本当はできないわけじゃないけど「やらせてないしできない」と判断するわけなんです。

個々に明確に線が引かれている。ファーストキャリアでまず、職務領域を選べないというのが問題になっていますよね。そこを解消するだけで、インパクトは起こるのかなって思いますね。結局その営業職のような経験をすることが選べるだけで、高卒者の進路選択に大きな影響がありますよね。
 
古屋
確かにおっしゃるとおりですね。大卒で製造業に就職する人は10%程度なのですが、高卒で就職する人は40%もいるんですよね。これは普通に、産業構造などからの論理的な説明ができないじゃないですか。

何かしらの「引力」が働いているからこうなっているわけで、社会全体を見ると、製造業の就業者ってもはや15%程度なのに、なぜか高卒者は半分近くの人が行っているのだと疑問に思いますよね。
 
牛島
そうですね。理由としては地方から見たときに地方の雇用を守るというのと、もう一つは、先輩も行っているし、先生も推し進めるので疑う余地がないということだと思うんですよね。

この前お笑い芸人の高卒の人が就職する際に、先生から強烈な「クロージング」を受けたというのをインタビュー記事で読みました。そこでの内容が、15社くらいリストがあって、半分製造業のもう半分が飲食みたいな感じで、「早く選ばないと先輩にも後輩にも迷惑がかかるよ」みたいなことを教師から言われたらしいです。
 
古屋
私も聞いたことがあります(笑)。なんかそれって大学の理系の研究室に似ていますよね。3年以内に辞めたら後輩が来られなくなるみたいな。推薦が取れないっていう話ですよね。

あと、私は教師の方々の大多数が、民間を経験したことないのに進路指導を行うのは限界があるのではないかとも思っています。
 
牛島
それは私も思います(笑)。教師の95%が民間未経験ですから。
 
古屋
そうですよね。先ほどの高校生の問題ですが、今後偏差値の高い通信高校なんかが増えてくると思います。クラーク高校やN高なんかは学校全体ではまだそれほど高くはないのですが、偏差値が突出して高い子たちがいるんですよね。例えば、桜蔭中学出身の女の子がN高に入っているんですよね。

普通に学ぶより、自分のやりたいことやった方がいいと考えるような子たちが入ってきているんですよね。それで、N高生に聞くと最近流行っているのがクラウドファンディングなんだそうです。

クラウドファンディングで学費を集めるのが流行っているそうです。ある子は沖縄県出身で親から仕送りなど一銭ももらっていません、それをYouTubeにアップしてクラウドファンディングで募集をかけているそうです。日頃はオープンスペースのカフェなどで勉強をしている。そんな子たちが出てきている。

そこで一つ思ったことが、ハッシャダイに行くような子たちやサムライキャリアに行くような子たちもそうですが、何らかの「きっかけ」になるようなものがあると思うんですよね。

それが「人」だったり、「情報」だったりする。今までの高校生は「人」経由で就職していたと思うのですが、今の子たちって人以外にも面白いブログを読んだとか、Twitterがきっかけとなったというか、「きっかけ」の強度が弱くても、今までとは違った動きやキャリアを築く子たちが多いなと思いますね。
 
牛島
そうですね、私も個人側、ユーザー側の意識が先に変わってくると思います。そっちの方が早く変わると思っていて、今って情報開示されているので、リテラシーが高い子供が非常に多くなってきているんですよね。

それと今の子たちはSNSが日常にありますが、SNSって日常にありながらも、見たことのない世界の情報があふれているという点では、非日常なんですよね。その非日常と日常のギャップが昔よりも、行動するきっかけに大きく関わっていると思います。

 
 
株式会社前人未到 代表取締役社長 牛島悟
福岡出身、新卒で大手メーカーに入社。その後スタートアップ、メガベンチャーにてTOPセールス。AI系ベンチャー企業上場を牽引後、起業。
 

 
一般社団法人スクール・トゥ・ワーク
代表理事 古屋星斗
1986年岐阜県多治見市生まれ。大学・大学院では教育社会学を専攻、専門学校の学びを研究する。卒業後、経済産業省に入省し、社会人基礎力などの産業人材政策、アニメ・ゲームの海外展開、福島の復興、成長戦略の立案に従事。アニメ製作の現場から、仮設住宅まで駆け回る。現在は退官し、民間研究機関で次世代の若者のキャリアづくりを研究する。

 

2020’sの若者キャリア論シリーズ

2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)①
2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)②
2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)③
2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)④

2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)①

2020年代の若者キャリアはどうなっていくのか。今回は、非大卒向けキャリア支援サービスの「サムライキャリア」などを運営する株式会社前人未到の牛島悟さんと対談します。

古屋(一般社団法人スクール・トゥ・ワーク代表理事、以下略):
2020年代のキャリアについて考えて、いろいろな人とお話する、そんな企画にご参加いただきありがとうございます。私はこの数年でキャリアの考え方が全然変わると思っていて、その中でも一番変わるのではないかと思っているのが「転職がなくなる」ことだと思っています。

どういうことかというと、100%A社から100%B社に移る転職はかなりリスクが高いと思うのです。それは企業にとっても、人にとっても言えること。なので、「コミットメントをシフト」していく方法がいいと思っています。

ベンチャーとかですと最初から人を入れるのが不安なので、夜の時間だけ業務委託をするなど、そういう形が増えてきています。起業するにあたっても、元々やっていた仕事を週2日の業務委託で残しつつ割合を減らしながら、徐々に移行していくのが増えていますよね。

いきなり起業、いきなり転職みたいなのがほぼ無くなっていくのではないかと思っています。結果として「こんなはずじゃなかった」という転職する個人も、そして採用する企業の「こんなはずでは」もなくなっていく。

牛島 悟(前人未到CEO。以下略):
面白いというか、僕がこうなるだろうなと思っているのが、僕は今まで、業務委託とか、副業推進のスタートアップの経営アドバイザーみたいなのをやっていたんですよ。

そこで気づいた話なのですが、一つは、レイヤーによって働き方が変わってくると思っています。業務委託と副業があって、業務委託はフリーランス的要素が強いですよね。会社に行って仕事を行うことが実は結構あるわけですが、その中で、リモートで作業できる人たちは、どちらかというとエンジニア職種なんです。

こういう職種の人たちの数は、マーケット全体で見たときはまだまだ小さい。ただ、個人側のニーズはめちゃくちゃ高いんですよね。自分の会社で正社員で100%コミットではなくて、一応仕事はやるけど土日は違うところで働きたいとか、逆に週3日しか来ないので他の会社と掛け持ちしたいとか、そういうのが本当は多いんですよね。それは僕も実感をしていて、圧倒的に多いんですよ。

古屋
個人側のニーズは私も痛感していますが、やはりそうなのですね。

牛島
ただ、その場合には企業側のネックが圧倒的に多くて、スタートアップでは使われ始めているものの、大企業がそこをまだ開いてくれないという問題点があるんです。

そして、その中でそういう働き方ができる人たちって、力がある人たちなんですね。極論を言うと、9割はエンジニアなんですよ。売り手市場で会社に来てくれなくても、仕事ができバリューが出せる人たちです。

逆に、営業職とかですと、非常に難しいんですよ。つまり「そこにいないと」バリューが出せないのです。なので、先ほどの「コミットメントがシフトする」話は、まず職種という観点から広がっていくだろうと思っていて、まずはエンジニアですが、ゆくゆくは人事、広報、マーケターとどんどん広がっていくだろうと思います。

ただ、もちろん、スキルのレベルという観点も必要で、やはりまずはビジネスレベルがすごく高い人たちになり、この人たちから広がっていくだろうと思います。このハイレイヤーではその動きはどんどん広がると思っています。

古屋
そういった動きのなかで、「働く」のシチュエーションが完全に変わっていますよね。Slack(注:スラック。全世界で利用者数が増えているチームコミュニケーション・ツール)で仕事をすると、例えば普通の会社ですと机の配置とかで課長とか部長とか分かるじゃないですか。

「窓際でペーペーを見下ろす位置にいる人が偉いんだろう」とか「いつも早く帰る方は家庭の事情であまり仕事はできないんだろう」とか、オフィスでは自明であったある種の「了解」がなくなっていく。

そういう点も含めて、2020年代のキャリアづくりは、今とはえらい違いになるのではないかと思います。ただ、牛島さんのお話でもあったとおり、スキルのない層をどうするか。

18歳・22歳で仕事を始めるのが当たり前の時代から、新人で採用された方26歳で初職、そういう人たちも増えてくると思いますし、今までそういう人たちは非正規に行くしかなかったんですけど、これからの時代は働く場があるのではないのかなと思っています。

牛島
そうですね。問題はいわゆる未経験層ですよね。オリンピックとかの景気の変動にもよると思いますが、今、スクール・トゥ・ワークさんとか、ハッシャダイ(非大卒限定の有料職業紹介会社)さんとか、キャリア教育のプレイヤーが入ってこないと、たぶん根本が変わらないと思います。

あとは成人年齢が変わった時にどう動くかという部分だと思います。大前提いきなりは変わらないと思いますが。なので、民間からそこに入っていって、少しずつ、進展、浸透していくと、2020年、僕はもう少しかかるのかなと思っています。

2020年と2030年の間で行くのか、そこの感覚は難しいですね。なので、若年層のところは、まずはあまり大きく変わらないと思います。僕の見立てで変わるとしたら、若者個人側の視野が広がり、民間の僕らやスクール・トゥ・ワークさんのような団体が入っていって、「選択肢を知る」という体験は変わることができる。他方、若者市場の大きな流動化、仕事の仕方の変化は起きないのではないのかなと思っています。

 
株式会社前人未到 代表取締役社長 牛島悟
福岡出身、新卒で大手メーカーに入社。その後スタートアップ、メガベンチャーにてTOPセールス。AI系ベンチャー企業上場を牽引後、起業。

 
一般社団法人スクール・トゥ・ワーク
代表理事 古屋星斗
1986年岐阜県多治見市生まれ。大学・大学院では教育社会学を専攻、専門学校の学びを研究する。卒業後、経済産業省に入省し、社会人基礎力などの産業人材政策、アニメ・ゲームの海外展開、福島の復興、成長戦略の立案に従事。アニメ製作の現場から、仮設住宅まで駆け回る。現在は退官し、民間研究機関で次世代の若者のキャリアづくりを研究する。

 

2020’sの若者キャリア論シリーズ

2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)①
2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)②
2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)③
2020’sの若者キャリア論 牛島悟(前人未到CEO) × 古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)④

人に言われて決めたことが一番後悔する

みなさんは“高校を中退”した人にどんなイメージがあるでしょうか。高校を中退した後、地元の和歌山でとびの仕事をしていた龍神さん。4年勤めたとびを辞め、現在は東京でweb広告の営業をしています。今回は、現在22歳の龍神さんにキャリアストーリーを伺います。

高校を中退、そして3カ月で高校卒業

古屋
龍神さんは今、東京でwebの広告営業の仕事をされていますが、中高ではどのような生徒さんでしたか?

龍神
僕は実は高校はほとんど行かずに中退しています。中学校もあんまり行ってなくて。いわゆる不良、マイルドヤンキーでしたね。でも、中学時代の同級生は7割くらいは大学に行っているんですよ。当時はあんまり自分と変わらないなと思っていたのですが。

古屋
今、大学に行っている同級生と、中学校時代はあまり差を感じなかったんですね。全然違う人生を送っている彼らを見て、何か思うことはありますか?

龍神
これまで高校を中退してから仕事をしてきたんですが、ここに来て、大学に行きたいなと思っています。高校中退した後に18歳で一瞬だけ本気で勉強していて高卒資格を取ったんです。だから大学受験はできる。なので大学で学びたい学問があれば迷わず行こうと思ってます。

古屋
面白いですね。18歳で一瞬だけ勉強したというのはどのくらい勉強したんでしょうか。

龍神
3ヶ月で合格コミットという、地元の高検塾に行きました。ですから勉強したのは3ヶ月ですね。

古屋
3ヶ月!3ヶ月で高卒資格ですから、3ヶ月で3年分の勉強をしたことになりますね。

龍神
そう言われると、そうなりますね。

古屋
話が戻りまして、高校を中退された後は、どんなことをしていましたか。

龍神
高校時代から建設現場でバイトしていたのですが、これが楽しくなって、こっちを仕事にしました。給料が良かったこともあり、和歌山県で月25~30万円だったんですよ。

高校は二学期に辞めまして、4年間建設現場で正社員として働いていました。いろんな現場に行っていたので、日々違う人と触れ合っていたんですが、仕事に厳しい人が多かったですね。なのでよく失敗して怒られてました。

ただ、仕事は大変だったのですが、給料が良かったので、その給料を毎月散財することが唯一の楽しみでした。たまに大阪とかに繰り出したりもしましたが、メインは和歌山駅前のキャバクラ。一回数万円とか使って遊びました。

古屋
地元で一回数万円はかなり目立ったでしょうね。最初のお仕事にはどんな印象が残っていますか。

龍神
現場が日ごとに変わっていたこともあり特に印象とかはあまり残ってないです。仕事の内容はとび職で、足場をつくっていく仕事。

ただ、この仕事を定年までするつもりはなく、いつか抜けようと思っていたんです。でも、本当にまわりの情報がなかったので全く何も分からなかったんです。

“自動車学校の教官”が最初のきっかけだった

※バイク運転で事故を起こした時の写真

古屋
そんな中で、最初のきっかけはなんだったんでしょうね。

龍神
今でも覚えているのは、最初の情報を教えてくれたのが自動車学校の先生だったことです。車の運転免許を取得しに自動車学校に通っていたら、30代くらいの教官に、運転している最中に雑談をしていたんです。

この中で、「中卒なんで職の選択肢の幅が狭くてどうすれば良いのか」という相談を何気なくしたんです。その時に、教官が言ったのが「高卒認定に挑戦してみたら?」ということ。

それで選択肢を広げるために高卒認定を取ったんです。その教官にも認定取得は「難しいよ」と言われたが、「逆にやってやろう」と気持ちに火がつきました。認定塾の先生にも1年は勉強しないと無理だろうと言われたが、3ヶ月でとれてちょっと嬉しかったです。

古屋
それは嬉しいですね。高卒認定取得後はどうされたのでしょうか?

龍神
医療関係の専門学校の試験を受けました。でも、筆記は受かったが面接は落ちました。やはり経歴で・・・。

そこで、貯金をかなり蓄えていたので海外行こうと思い立って、海外留学支援をやっていたハッシャダイをツイッターで知ったんです。

すぐに、DMか電話かで問い合わせました。「すぐ来れますか」と言われたので、オンラインで即答でOKして。今の環境を変えることでしか、今の自分を変えられないと思ったから即決でした。

古屋
ハッシャダイさんのインターンシップはいかがでしたか?

龍神
インターネット回線を売るインターンは結構上手くいきました。営業は仕組み化されているので、モチベーションを上げる仕組みもあり、目標がある人は契約をとれるんです。その時に、「自分、営業向いているな」と思いました。

古屋
今に繋がる、大きな発見ですね。インターンシップ参加後、どんなアクションを起こしたのでしょうか。

龍神
当時、成長意欲がとても高くて、営業スキルを極めたかったんです。新規営業をゴリゴリやって、更にBtoB営業をやりたかった。そこで、法人営業ができる会社に入りました。

法人営業は個人営業と基本はあんまり変わらなかったが、マナーはもちろん高いレベルが求められるので学び直しました。もちろん、商材への知識量もです。

今やっているのがこの仕事で、webの広告営業です。勉強はOJTがやはり一番学べますね。でも次のステップに行こうかと思っているんです。

古屋
今はまず、成長、ということですか?

龍神
一言でいうのは難しいですね。成長意欲については、実は模索している段階なんです。営業は向いていると思いますが、一生やっていくわけではないので、模索している。

できれば次は、少人数のスタートアップに行きたい。あえてのメガベンチャーも。海外もあるかも。今の仕事は上手くいっている、結構売れているのですが、もう会社には辞めるという話はしてあるんです。

「人に言われて決断するのが一番後悔する」

古屋
龍神さんのキャリアづくりは今まさに第二のスタートを切ろうとしているのですね。最後に後輩たちに伝えたいメッセージなどはありますか?

龍神
自分が模索している最中なので、そんなに偉そうなことは言えないのですが、「すべての選択を自分の意志で決めたほうがいいよ」ということですね。

人に言われて決断をするのが一番後悔します。僕の場合は中学から自分の意志で決めていることが人より多くて、例えば学校に行かないということも意思決定かもしれない。

ただ、悩んでいることもあって、自分の中のゴールの定義がまだ分からないんです。いろんな選択肢の中で最適な道を探しつづけています。

具体的な目標として、5年後27歳、600~1000万円は稼ぎたい。そしてそれ以上に稼ぎ方をこだわりたい。toCでは稼ぎたくなくて、市場で唯一の立場になっていきたい。

そういう意味では、今の仕事には満足しているがまだまだ自分の人生には満足していないですね。

古屋
まだ22歳。目標はこれからもどんどん新しく見つかり、移り変わって行くと思いますが、必ずこれまでの経験が活きてくると思います。本日はありがとうございました!

高卒就職、「一人一社制」は必要か

高卒就職、「一人一社制」は必要か

(総動員体制下で制定された“労務調整令”。80年前に作られた斡旋体制が、2019年現在も高校生の進路選択を拘束している)

 

高校生就活の3つのルール

 

高校生の就職活動は、大学生の“就活”とは大きく異なることをご存じだろうか。合同説明会も、インターンシップ説明会も存在せず、「内定長者」やESを何社分も書く、といったものもない。

そして現代の就活で見ない大学生はいないであろう大規模な「就活ポータルサイト」も存在しない。
 
では日本の高校生はどのように就職活動をしているのだろうか。大学生の就活と比べると大小多数の違いがあるものの、高校生の就職活動を知るために押さえておくべきは、以下の3つの「ルール」の存在であろう。

第1のルールは、スケジュールに関するルールである。毎年7月1日に企業による学校への求人申し込みが始まり、7月下旬以降の夏休み期間に会社見学・職場見学を実施、9月5日に生徒の応募書類提出開始、9月16日に選考・内定解禁というスケジュールが政府等関係機関によって定められ厳密に運用されている。

第2のルールは、「一人一社制」である。9月5日の応募書類提出から一定の期間(10月1日までと決まっている)は、一人の生徒が一つの会社にしか応募することができない。2003年以降に緩和され10月1日以降は複数社応募が可能となっているが、それ以前は厳密に一人の生徒の複数社同時応募は不可能であった。

第3のルールは、「推薦指定校制」による求人事前選別の仕組みである。高校で生徒に紹介される求人については、会社がオープンに応募している求人が提示されるのではなく、高校に寄せられた求人から選ばれるという慣行である。

この3つのルールのうち、第3のルールである「推薦指定校制」はインターネットの浸透もありかなり緩んでいるという指摘もある(ただし、当方が最近高校卒業した者にヒアリングしたところ、就職指導室にあった紙のファイルの10数枚の求人票から選んだ、という話を複数人から聞くことができており、「推薦指定校制」に近い状態は現在でも残存しているものと考えられる)。

その中で、本稿ではいまだ多くの都道府県において厳密に運用されている、「一人一社制」について考えたい

 

一人一社制はなぜあるのか

 

一人一社制はどういった理由で存在するルールなのだろうか。文部科学省、厚生労働省の通知や各都道府県での申し合わせを見ると、「求人秩序の確立」、「適正な選考・推薦の実施」、「健全な学校教育」、「新規学校卒業者の適正な職業選択」といった理由が挙げられている

つまり、一定のルールに則って就職活動がなされることで、高校生の学習環境を保ちつつ適正な選択を促す、というのが規制の趣旨となっていると理解できる。

また、一人一社制がここまで一般化しているのは、高校とハローワークによる高校生への職業斡旋が一般的であるためであり、実に現代でも80%以上の高校生が高校・ハローワークの斡旋によって就職している。

その歴史的な経緯としては、第二次世界大戦中の総動員体制下において、学校が戦時動員により工場等に学徒を斡旋する機能を持ったことに起因すると考えられる。

具体的には1941年12月の労務調整令により、国民学校卒業者は国民職業指導所経由での就職のみに限定されることとなった。

この学校・国による斡旋体制の確立が、戦後の中学・高校における学校・ハローワークの「全員斡旋体制」に繋がっており、2019年現在も高校に残っているものと考えられる

歴史的な経緯は時として本質を歪ませる。「求人秩序の確立」、「適正な選考・推薦の実施」、「健全な学校教育」、「新規学校卒業者の適正な職業選択」といった趣旨を達成する制度としての在り方については議論の余地があるといえよう。

 

一人一社制は「弱いルール」

 

現代においても、多くの学校現場で厳密に運用されている一人一社制であるが、ルールとしては実は「弱い」。

高校生就職活動については、二段階の規制が行われている。一段階目は、文部科学省と厚生労働省が共同開催する「高等教育就職問題検討会議」決定の「通知」による規制である。

ここではスケジュールのほか、全国統一様式の応募書類、さらには求人票にはハローワークの確認印が必要である、といった細かいことまでが決定されている。この一段階目ですら、法律(国全体の規則)や政省令(政府が作る細かい規則)といったものではなく、あくまで法的根拠のない「通知」である。

しかし、スケジュールにしろ、全国一律の応募書類にしろ、80%以上の高校生がこのルールに従って就職活動を行っている事実を踏まえると、事実上の規制として強い効力があると言えよう。

二段階目は、各都道府県の高等学校就職問題検討会による「申し合わせ」である。「申し合わせ」において、「一人一社制」や面接の際の質問内容の制限などとった国の「通知」で決まっていないことが定められる。

こちらは国による事実上の規制ですらなく、各自治体によるものであり、法的根拠も全くない極めて弱いルールであるといえよう。

しかし、弱いルールである一方で、多くの高校生、そして採用する企業がこのルールに縛られており、事実上の規制として効力を発揮していることには変わりがない。

 

一人一社制はこれからの日本に必要か

 

論点ごとに検証してみよう。

  • 『未成年である高校生に対して、大学生と同様の就職活動をさせることは難しいのではないか』

このようなパターナリスティックな姿勢は年齢や学習期間の差異があるため一定程度必要であると考えるが、そのためにはむしろ「選択肢の選び方」や、「確認すべき点は何か」、など企業の選び方やキャリアづくりについて大学生より手厚く指導することを行うべきであろう。

そうしたプログラムなしに、行動する選択肢自体を一律で減らしてしまう規制は、職業選択の自由を過剰に侵してしまっている疑念をぬぐうことはできない

より軽易かつ効果的な方法で達成することができる論点であると考える。また、民法改正により成人年齢も18歳に引き下げられることも、この疑念を後押しする。

 

  • 『たくさんの企業との面接が行われると学校の勉強ができなくなるのではないか』

既に厳密なスケジュール規制が敷かれているため、学業期間については一定程度担保されていると言えよう。一人一社制をなくした場合には、9月16日の選考開始以降、数日から数週間に渡って選考が断続的に行われる可能性があるが、採用したい企業に対する「選考時間ルール」(学事日程に影響のない日程とすること、などとし、放課後時間などの実施をルール化する)により、こちらもより軽易な規制による効果的な方法で達成することが可能である。

もしくは選考開始日時を1か月前倒しし、夏季休暇期間とすることでも当該論点は解消する。なお、就職難の状況下においては多くの学生に無理なく就職の機会を与えるという点で、一人一社制は一定の合理性はあったものと考えられる。

しかし、現在のように採用需要が旺盛で学業を比較的圧迫することなく短期間で就職活動と進路決定が可能な状況においては、徒に生徒の選択権を限定するものとなっていると言わざるを得ない。

 

  • 『一人一社制は企業の効率的な採用に貢献している。もしなくせば企業の人材獲得が困難になる』

特に採用難に直面している地方・中小企業において、このポイントは大きな問題となっている。決まった学校から、決まった数の若者を確保できる高卒者採用の仕組みは企業側のメリットが大きい。

一人一社制は、「選考が、生徒あたり一社にしか許されない」、という仕組みとも言い換えることができ、企業の採用にとって非常に厄介な「内定辞退」を無くすことができるのである。

ただし、この仕組みによって入社した生徒は本当にその会社で仕事することに心から納得しているだろうか。高卒者の入社後3年後離職率は実に40%であり、これは大卒者の30%より10%も高い水準にある。

育ててもすぐ辞めてしまう、早期離職のこの10%の差が「選択していないこと」に起因する差であるとするならば、他の会社も見てそれでも自社に魅力を感じてくれた、という仕組みにすることが状況を改善するのではないだろうか。

また、会社側も現在より多くの生徒と会うことができ、自身の目で自社にフィットする学生を探すことができよう。むしろマッチングの場の貧しさが問題であり、一人一社制によって当該論点が解決するものではない

 

求められる、行政による主体的な「新たなルールづくり」

 

本稿では簡単に、一人一社制を取り巻く状況と課題を整理してきた。触れているとおり、一人一社制は「弱いルール」であり、行政として「規制しているつもりはない」と言える性質のものであるし、現時点で民間企業が高校生の採用市場でビジネスを行うことは全面的に自由である。

しかし、「規制していないからやれることがない」ことはない。高校生の就職・初期キャリアづくりには極めて大きな問題が多数存在しているのである(早期離職の多さ、就職業種の産業構造から乖離した偏重など)。

少なくとも80%以上の高校生とその採用をしている多数の企業が、事実として「ルール」に基づいて就職活動をしている現実を直視したうえで、より行政には積極的な役回りが期待されているといえよう。

国際的にも高い水準にある高校生の就職率を維持しつつ、よりフィットした就職先を選ぶことのできる仕組みについて、日本全体で人手不足が極めて深刻化している今、まさに議論する時が来たのではないだろうか。

 

書き手:古屋星斗
一般社団法人スクール・トゥ・ワーク 代表理事
1986年岐阜県多治見市生まれ。大学・大学院では教育社会学を専攻、専門学校の学びを研究する。卒業後、経済産業省に入省し、社会人基礎力などの産業人材政策、アニメ・ゲームの海外展開、福島の復興、成長戦略の立案に従事。アニメ製作の現場から、仮設住宅まで駆け回る。現在は退官し、民間研究機関で次世代の若者のキャリアづくりを研究する。

今よりも面白い環境を求めて挑戦をする

今回のインタビューは2年前に福岡から上京し、現在はサイバーエージェントの子会社である株式会社Cyber Bullで初の高卒採用された後藤竜之助さんにお話を伺いたいと思います。

木村(当団体事務局):
よろしくお願いします。早速ですが、簡単に自己紹介していただいてもよろしいでしょうか?

後藤竜之助さん(以下、敬称略):
はい、私は現在、広告媒体の運用の仕事をしています。高校時代はサッカー部に所属していたのですが、けがをしてしまってそこからはとにかく遊んでいました。高校時代に好きなことは全部やっていました。

高校卒業後は元々就職すると決めていたので、貿易会社の運送業に就職しました。五人兄弟でみんな大学に行こうとしていましたが、自分は親に迷惑をかけた分、楽をさせたいと思い、就職すると決めました。貿易会社なので、夜中の2時から朝の10時までなど不規則な就業時間の勤務でした。

木村
いろいろな会社への選択があったと思うのですが、なぜその会社を選ばれたのでしょうか?あと、会社を辞められたきっかけとかありますか?

後藤
元々その会社を選んだ理由は、給料が良かった、ただそれだけです。ですが、仕事をしていくうちにお金が全てじゃないと思うようになりました。もっと面白いことをやりたい、そんな価値観が少しずつ変わっていったのがきっかけですね。

木村
そうだったんですね、面白いことをやりたいとのことでしたが、やめた後はどんなキャリア転換をされたのでしょうか?

後藤
貿易会社を辞めた後は、訪問販売のアルバイトをやっていました。訪問販売はかなり得意だったのですが、そこで、株式会社ハッシャダイ(非大卒限定向けの有料職業会社)の社員と会い、日本一の営業マンの人としゃべる機会がありました。

話をしたハッシャダイの社員の人からも東京に来てほしいと誘いがありましたが、名前からして、めちゃくちゃ怪しいですし、福岡の地元が好きだったので話を聞いたときは行動には移しませんでした。

ですが、日本一の営業マンの話を聞き、自分より高いレベルを知ってしまったので今よりも面白い環境を求めて東京に挑戦しようと思い、ハッシャダイのヤンキーインターン(非大卒限定のインターンシップ)に参加しました。

木村
そうなんですね、出会いがきっかけとなったハッシャダイでのインターンはいかがでしたか?

後藤
最初はハッシャダイに行って営業は誰にも負ける気はしないと意気込んでいましたが、意外と周りの同期は穏やかな雰囲気でしたね。私は、研修中に表彰されるなど、負けないと意気込んだ分、しっかりと成果を残せたと思います。同期は5人いて、仲が良かったのですが、営業に対して、若干ハングリーさが欠けていると思いましたね。

木村
そうだったんですね、トップ成績を残せた要因になったハングリーさはどこから来ているのでしょうか?

後藤
一つは親に恩返しをしたいということです。高校時代は好きなことをやっていた分、かなり親に迷惑をかけたので恩返しをしたいと考えているからです。

もう一つは自分の父親の事業を大きくする。そのために自分が成長しなければならないからです。本気で成り上がりたいという気持ちはだれにも負けていなかったから、成果を出せたと思います。

木村:後藤さんのお父さんは何の事業を行われているのですか?

後藤
建築と居酒屋を経営しており、創業者でもあります。

木村
恩返しの気持ちが後藤さんのハングリーさにつながっているんですね。では、なぜ株式会社CyberBullを次のキャリアとして選んだのでしょうか?

後藤
一番の理由は自分が成長できる最高の環境だと思ったからです。なぜなら、インターネット業界の中でも大きな案件を扱っており、その大きな案件でも、若手に任せる裁量権のある社風というのが選んだ一番の理由です。

そしてもう一つの理由が、うちの社長が25歳の時に借金で5億円を抱えながらも事業を展開し、今ではそれを帳消しにして、現在も社長を続けているという話がすごく印象的に残っており、働きたいと思いました。

しかし、うちの会社は大卒しかとっておらず、面接を受けさせてもらえなかったのですが、人事の人に電話をして、直談判をして、何とか面接にこぎつけ合格しました。

木村
直談判とはすごいですね(笑)。話の節々に後藤さんのアグレッシブさが伝わってきます。
今後の後藤さんの目標などあればお聞かせください。

後藤
目標の一つ目は、父親の事業を拡大させること。そして二つ目はこの会社の必要不可欠な人材になること。

そして、毎日チャレンジをし続けることです。どんな小さなことでも大切にしています。自分は何もできない、だからこそ、マインドは失わずにプライドを捨てて挑戦し続けます!

木村
日々挑戦し続けるのは素晴らしいですね。本日はありがとうございました!