目が死んでいる人が多い日本に、衝撃を受けて 後編

今回のインタビューは世界的大企業トヨタの工場で働くも、3年で退職し、世界中を旅した後に株式会社ハッシャダイで全国の高校に講演会を開き飛び回る、三浦宗一郎さんにお話を伺いたいと思います。

前回 目が死んでいる人が多い日本に、衝撃を受けて 前編

楽しい人生にしようとすると、楽できない!

木村(当団体事務局):
世界中を旅して、いろいろな経験をされた三浦さんはなぜ、ハッシャダイに入られたのでしょうか?

三浦宗一郎さん(以下、敬称略):
旅が終わって日本に帰った時は、若者にチャンスを与えるような人になりたいと思っていて、いろいろな経営者の人に会いに行ったんですが、その時にハッシャダイの久世さんと出会ったんです。

元々、人の人生に関わる仕事をしたいと思っていたからハッシャダイは知っていて、若者を応援するとか、そういうところに共感して会いたいと思ったんです。

実際にあって哲学的なビジョンだったり、めっちゃ惹かれたんですよね。それで、その場で久世さんと話して、入社が決定しました。

木村
その場で決定とはすごいスピード感ですね。ハッシャダイに入る前と後でギャップなどはありましたか?また、どんな仕事をされているか教えてください。

三浦
ギャップは全くありませんでしたね。入る前から、とても面白そうな会社だなと思っていて、入った後でもめっちゃ面白いという気持ちが強くなりました。ちなみに今の仕事は、主に中学校、高校での講演活動と、あとはハッシャダイカフェをもっと盛り上げていろいろな人に使って貰おうということで、いろいろな企画をしています!

木村
今のお仕事はどうですか?

三浦
超楽しい!でも、大変なこともたくさんあります。なぜなら、楽しく生きようとすると楽できないからです。ハッシャダイに来て自分の力が足りていないなと思うときも常にありますし、人間関係でもすごく苦労しました。ヤンキーインターンのメンターをしている時は、人と深く関わる仕事だからこそ、苦労したことも多くありました。

でも、そういうのを全部含めて楽しいですね。大変でもそれを楽しくさせる環境があるので、一緒に頑張る仲間がいるみたいな。ヤンキーインターンの参加者からも感謝されるよりも、頑張っている姿を見るほうが楽しいんですよね。

例えば、お世話になりましたって言われるよりも、今、次のステージで活躍してる姿とか次の目標を見つけている姿をみることのほうが嬉しいです。あと、今講演をしていて、高校1年生くらいから自分の進路をしっかり考えていたら、みんな良い人生送れるんじゃないかって思っていて講演活動をしていて充実しています。

木村
まさに三浦さんが歩まれてきたchoose your life(注:ハッシャダイのキャッチフレーズ)を伝えているということですね、三浦さんの今後の人生の目標はありますか?

三浦
目標としては、常に新しいことに挑戦し続けたいと思っています。結局挑戦しろと言っても、教える側のそいつが挑戦していなかったら、心に響かないですよね。そして、旅も続けていろいろな発見もしたいと思っています。

旅のときと日本とのギャップがあって、日本人は楽しそうな人が少ないと感じていて、それを楽しくするのが、自分の挑戦。一歩踏み出す挑戦、新しい環境にチャレンジすることだと思っているから、そういう人を増やしていきたいと思っています。

カンボジアにもフィジーにも、逃げ場所がいっぱいあるから挑戦できる

木村
挑戦をすることによって、楽しさを感じるのはおっしゃる通りですね。ありがとうございます。これから挑戦する若者へのメッセージなどがあればお願いします。

三浦
世界ってめっちゃ広いっていう話をしたくて、今自分がいる場所から一歩抜け出すと抱えている悩みとか一瞬でなくなったりするんですよね。逆にずっとその場所にいたら、その悩みが自分の中でどんどん大きくなってしまうんです。

例えば、学生のときは、世界が学校と家庭しかないと感じてしまって、学校でいじめにあい、家庭が複雑だと落ち込んでしまう。

でも、世界はめちゃくちゃ広くて、どんな自分であってもぜったいに受け入れてくれる場所がどこかにあると私は思っています。そういうのを知っているっていうだけで、挑戦というハードルがすごく下がるっていうのが伝えたいことですね。

俺は今まで旅をし続けていて、いろいろな人と仲良くなって挑戦して失敗しても、たくさん助けてくれる周りがいるんだよ、カンボジアにもセーフティーネットがあってフィジーにもあってみたいな。逃げ場所がいっぱいできるからこそ、どんどん挑戦できる環境が私にはあるんですよね。

木村
様々な場所を知ったからこと、失敗を恐れずに挑戦できる。非常に素晴らしいと思います。本日は本当にありがとうございました!

目が死んでいる人が多い日本に、衝撃を受けて 前編

今回のインタビューは世界的大企業トヨタの工場で働くも、3年で退職し、世界中を旅した後に株式会社ハッシャダイで全国の高校に講演会を開き飛び回る、三浦宗一郎さんにお話を伺いたいと思います。

三浦さん:写真一番右側

高校生で感じた”なりたい大人”と“なりたくない大人”の像

木村壮馬(当団体事務局):
早速ですが、現職のハッシャダイに来られる前はトヨタの工場で働かれていたとお聞きしましたが、その当時のことをお聞かせください。

三浦宗一郎さん(以下、敬称略):
僕は、トヨタの工場で3年間働いていたんですが、その前に、トヨタの企業内高校のトヨタ工業学園に進学したのが、トヨタに入社するきっかけです。元々学校の先生になりたかったんですが、勉強が得意なわけでもありませんでしたし、経済的にも大学に行くのが難しくて。だから、トヨタ工業学園に進学しました。

トヨタ工業学園は、高校生だけど普通に働いて給料がもらえるんですよね。だから働いた期間でいえば6年間働いたことになりますね。トヨタ工業学園に入れば、お金も稼げるから将来の選択肢が増えると思って進学しました。

木村
ちなみに、働きながらの学校生活はどうでしたか?

三浦
めちゃくちゃ、特殊でした!ちなみに学校は寮生活で、夜は21時門限の朝は6時起床で、集団行動みたいなこともやって、自衛隊のような生活。でも、すごく感謝してるんですよね。よかったことは本当にたくさんあるんですけど、その中でも特にあるのは、いろんな大人に出会えたことだと思います。

トヨタ工業学園はさっきも言った通り働きながら勉強して、毎週違う職場に行くことになっていて、その職場ごとに“いろいろな大人”がいたんですよね。そこで、私の思ったことは2種類の大人がいるなと思って、「キラキラした目で仕事している人」と、「そうでない大人」。その大人たちと一緒に働くことによって早い段階からキャリアについて考えるようになりました。

自分の“なりたくない大人の像”みたいなのが見えるようになったんです。

木村
そうだったんですね。ちなみにトヨタの工場をやめたきっかけとかはありますか?

三浦
トヨタをやめた理由はもっと多くの人の価値観や人生観に触れたいと思って世界を旅することを決めたからです。もともと旅が好きで休みを使ってよく行っていたんですが、自分のやりたいことと向かい合うために旅をしていて、旅をするたびに自分の物差しが大きく変わっていったことを実感したんですよね。

カンボジア行ったときや、スペインを横断した時、人との出会いに大きなご縁を感じて、そういう感覚をすごく覚えていて。日本に帰ってきて思ったことがなぜか直感的に、「何で日本ってこんなに目が死んでいる人が多いんだろう」と思ったんですよね。

海外の友達が言ってたんですが、「嫌なら、仕事はやめたらいいじゃん」、「10年後のことは10年後に考えろ」っていう人が多くて、本当に自分物差しが大きく変わった瞬間かなって思いました。そんな、いろんな人と出会う中で自分の価値観を何度もいい意味でぶち壊されたんです。

正直、日本人なら、トヨタの工場に入れば一生安泰っていう物差しがほとんどだと思いますが、僕は世界のいろいろな価値観に触れたからこそ、今こうやってハッシャダイにいるんだと思います。

「トンガ人は寝ながら人の話を聞く」。旅の経験が今の自分の居場所を作った

木村
そうだったんですね。お話を聞いていると旅の経験が三浦さんの人生に大きな影響を与えていると感じますが、旅での一番の思い出などはありますか?

三浦
内閣府の『世界青年の船』というのに参加した時に、世界の11か国の人たちと一緒に生活する機会があったんです。そこでセミナーがあったんですが、日本だと、姿勢を正して相手の話を聞きながら相槌を打つとかが礼儀としてありますよね。でも、トンガ人が“寝転がりながら”話を聞いていてすごく印象的でした。

でも、誰もそのトンガ人には怒ることはできなくて、なぜなら、トンガではそれが当たり前だから。文化の違いを目の前で感じて、世界ってめっちゃ広いなって思った。その時に、よく日本で、自分と人とを比べて気にする人がいますが、それって本当に意味ないなって感じました。トンガ人と自分を比べても、無理だなって思って。世界を知れば知るほど、周りを気にせずに行動するようになりましたね。

変わる?学校から仕事への第一歩 (第11回 初任給の格差)

一般社団法人スクール・トゥ・ワークの設立を記念して、当団体の活動の目的と背景を知ってもらうために、当団体の代表理事の古屋さん、監事の小松さんと事務局スタッフで非大卒人材の奥間さんと、座談会形式で、「変わる?学校から仕事への第一歩」の連載をお送りしています。

前回 変わる?学校から仕事への第一歩(第10回 就職先企業の規模)

大卒・非大卒の新卒の初任給

 

同じ仕事でも初任給に差が…

小松
第11回のテーマは「初任給の格差」です。それこそアラフォーの私には、初任給は遠い昔の話のように思いますが、お二人はいかがでしょう?初任給で親孝行をしたり、何か買ったものがあったりとかありますか(笑)?

古屋
私も遠い昔ですが、最初のボーナスで母親にプレゼントを贈ったことを覚えていますね。学生時代はお金が無かったので、最初の給料は借金の返済にまわしました。

奥間
僕は初任給では、親に少しお金を送っていたくらいで、あとは生活や学生の時の教育ローンの返済に消えましたね。特に何かを買ったとかはないです。

小松
ありがとうございます。2人の初任給にはあまり感動のストーリーはありませんでしたね(笑)。さて、大卒と高卒では初任給はいかがでしょうか。古屋先生ご説明をお願いします。

古屋
一般に初任給は大卒の方が高いです。直近のデータでは大卒は20万6,700円、高校卒は16万5,100円となっています。ただ正直なところ研修等により新人時代は、学歴を問わず同じ事業所の同じ仕事をすることも多いため、その場合はこの差には合理的な理由はなくなります。

むしろこの差は「入職する企業の規模の差や業種の違い」が学歴ごとに大きく存在すること、によって生まれている面があるでしょう。高卒就職者のほうが中小企業への入職比率が高いのです。また、同様の傾向が男女の違いでも存在し、女性の方が初任給が低いですがこれも同じような理由によるのではないかと考えられます。

小松
同一労働同一賃金の概念からは程遠いですね。急に賃金体系は変えられないということかと思います。ちなみに地域差はいかがでしょうか?

古屋
確かに例えば最低賃金も県でかなり差がありますよね。沖縄と東京では、同じコンビニの仕事でも、沖縄が時給800円のところ東京は1,100円、という感じです。8時間のバイトで2,400円も差がつくわけですから大きい。

そして初任給ももちろん地域差は大きいです。沖縄の大卒は17万5,200円、東京の大卒は21万4,900円となっています。こんなに差があるんですね。

小松
凄いですね!私は東京でキャリアがはじまっているので、この地域差には驚いてしまいます。なかなか日本人だと給与の話はあけすけに話さないかもしれませんが、奥間さんは、地元の友人と話をするときに、給与の話になったりしますか?

奥間
地元の友人などとはよく給与の話になりますね。古屋さんのご説明どおりで、地方と東京では最低賃金も大きく差があり、特に沖縄はその中でも最低賃金が低いので、東京で働いている僕に対してすごく興味深々で給与の話を聞いてきます(笑)。

小松
やはり他人の給与は気になりますからね。
初任給のあるべき姿はどういうものなのでしょうか?やはり同一労働同一賃金ですか?

古屋
日本では企業内で学歴に応じた一律の初任給が一般的でしたがようやく変わりつつあります。分かりやすい例では、ITエンジニアなどのスキルを持った学生に対して初任給としては高額の、例えば1,000万円などの年収を提示する例が広く出てきています。

また、エリア総合職などの学歴の中で職種を細分化し、それに応じて初任給を細分化する会社も一般的になってきていますね。私は最終的には学生を一括りで採用するのではなく、ロング・インターンシップなどを経由して一人一人の学生を職種指定で採用し、その職種に応じた給与設定をするという職種別初任給が今後の一つの到達点なのではないかと思っています。

小松
そうですね。職種別初任給は凄い世界ですね!ますます若者たちはキャリアについて考えなければならないですね。私たちもキャリア教育を通じて若者を応援し、初任給の格差是正に貢献したいですね。

 

「変わる?学校から仕事への第一歩」連載シリーズ

第1回 はじめに
第2回 大卒人材と非大卒人材の分断 前編
    大卒人材と非大卒人材の分断 後編
第3回 高校生の就職制度
第4回 高卒の就職率
第5回 「七・五・三」現象
第6回 離職した若者はどこへ行くのか
第7回 現在のキャリア教育
第8回 ハローワークの役割
第9回 地域格差
第10回 就職先企業の規模
第11回 初任給の格差
第12回 スクール・トゥ・ワーク

非大卒人材のトリセツ(第3回 非大卒人材の育成方法 前編)

「非大卒人材のトリセツ」の第3回は、「非大卒人材の育成方法」について記載したいと思います。少し長くなってしまったので、総論・各論に分けて、前編・後編でお送りします。

前回 非大卒人材のトリセツ(第2回 非大卒人材の可能性)

前回の「非大卒人材の可能性」では、1.若さ ~ 若者の4年間を有効活用できる ~、2.柔軟な対応力を長所として挙げさせてもらいました。また、「長所は短所の裏返し」とも言われるように、これらの長所の裏返しとして、非大卒人材の短所でもある知識不足についても指摘させてもらいました。

これらについては、会社の経営者や人事部の方からすれば、非大卒人材に関わらず、学歴は関係なく若手社員全般の特徴と似ていると感じた方も多いのではないかと思います。私も同様に感じていて、非大卒人材の場合は、大卒人材と比較して、その程度が大きい・激しいだけだと考えています。そのため、ますます就職した会社の育成方法が重要になってくると思います。

私が経営する経営コンサルティング会社のスーツ社では、高卒人材2名を採用しています。今回はスーツ社において、どのように彼らを育成しているのかをご紹介したいと思います。なお、初回に記載したとおり、 “たった2年”、“たったの2名”の採用・育成の経験でしかありませんので、その点についてご留意・ご理解いただければと存じます。

1.正しい現状認識

スーツ社の非大卒人材の育成で1番気を付けている点は、正しい現状認識をさせることです。

私は、非大卒人材に限らず、若手社員は、皆やる気にあふれて会社に就職してくると考えています。しかし、時間の経過とともに、どうしても自分の仕事や職場環境を客観視することができなくなってしまい、入社時には充実していたやる気の低下とともに、若手社員の多くが、会社の文化に必要以上に染まりすぎてしまう、「自分は悪くない。悪いのは上司や会社!」など被害者意識を持ってしまう、自らの可能性に自分で限界を設定してしまうなど、個人の主体性が乏しくなってしまうと考えています。

しかし、正しい現状認識があって、やる気さえあれば、主体性を失うこともありませんし、可能性は無限大に拡がります。

特に非大卒人材は、大卒人材以上に多様なバックグラウンドを持ち、教育年数も短いため一般に知識量が不足しており、スポンジのように吸収するかわりに、染まりやすい特徴があります。また、知識不足から視野も狭くなりがちであり、大人社会と接する機会の少なさから視点も低いため、とにかく客観性を持たせなければなりません。

スーツ社の場合は経営コンサルティング会社のため、非大卒人材の彼ら二人も、日常の業務においては、クライアント企業の社長にアドバイスをする立場にあり、公認会計士や弁護士などの専門家、金融機関・投資家や大企業の幹部と打ち合わせをすることも多々あります。

こういった日常業務を客観的に捉えさせることで、自分の置かれている状況を把握できるように促すのです。ビジネススキルが足りているか、仕事に対するプロフェッショナリズムはあるか、自己成長の定義ができているか、社会性の獲得はできているかなど様々な点を多角的に考えさせるのです。

スーツ社では、この客観性を担保するために、異業種交流会やベンチャー交流会などへの参加を積極的に奨励しています。彼らが人的ネットワークを築くという目的もありますが、何よりも自分の仕事や職場環境を客観視してもらいたいと考えています。

また、自分の比較の対象を、同年代のトップ層に置くように助言をしています。例えば、彼らの年齢ではまだ公認会計士や弁護士の有資格者はいませんので、難関資格の取得を目指している受験生たちの努力などと比較するようにさせています。

2.ポジティブな職業観の確立

スーツ社の非大卒人材の育成で2番目に気を付けている点は、以下のようなポジティブな職業観の確立です。

これは当団体の問題意識でもありますが、非大卒人材の多くの職業観は、学生時代のアルバイトの延長線上にあることが多いと考えています。つまりは、労働の対価という報酬を得るために、決して面白いとは思えない労働をして、自分の時間を切り売りするというような職業観です。

この非大卒人材の多くが持っている職業観を、大きく2つ変えなければならないと考えています。仕事そのものの捉え方を、ネガティブからポジティブに変化させなければなりません。

まず、仕事は生活のためにやむなくする「労働」ではなく、仕事は、他者や社会に貢献することができ、自己実現することができる、なおかつ、報酬までもらうことができる「仕事」であるという考えを知ってもらう必要があると考えています。

次に、近視眼的な考えを変えさせなければなりません。彼らには投資の概念を教える必要があると考えています。投資の概念とは、時間とお金を投資して、お金や幸せなどのリターンを極大化するという考え方です。人生100年時代において、20歳の若者は、少なくとも50年は働く可能性が高いと言われています。それならば、とにかく早いうちに、自己のスキルアップを図って、労働生産性を高めたほうが、仕事も楽しくできるし、報酬も高くもらえる可能性が高いのではないかという事実を教えます。では、どのように自己のスキルアップをするか。それは時間をかけて、本を買って勉強したり、お金をかけて、学校に通ったりすることで、スキルアップすることができることを教えます。

非大卒人材の職業観を、「労働」から「仕事」へ変化させ、そして、1時間あたりの「労働」からそれこそ50年あたりの「仕事」へ変化させて、ネガティブからポジティブに変えることが必要だと思います。

 
小松 裕介
プロ経営者 株式会社スーツ 代表取締役
2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社を7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より、総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。
2018年9月に一般社団法人スクール・トゥ・ワーク設立と同時に監事に就任。

 

「非大卒人材のトリセツ」連載シリーズ

第1回 はじめに
第2回 非大卒人材の可能性
第3回 非大卒人材の育成方法 前編

変わる?学校から仕事への第一歩(第10回 就職先企業の規模)

一般社団法人スクール・トゥ・ワークの設立を記念して、当団体の活動の目的と背景を知ってもらうために、当団体の代表理事の古屋さん、監事の小松さんと事務局スタッフで非大卒人材の奥間さんと、座談会形式で、「変わる?学校から仕事への第一歩」の連載をお送りしています。

前回 変わる?学校から仕事への第一歩 (第9回 地域格差)

高卒・大卒の大手企業就職者の離職率

就職先企業の規模

小松
あっという間に第10回になってしまいました。それにしても、いろいろな論点がありますね。第10回のテーマは「就職先企業の規模」です。規模といっても、売上規模と社員数などいろいろありますが、まず、いわゆる大企業、中小企業などの定義を教えてもらいましょうか?
 
古屋
小松さんのお話のとおり、実は統一された定義はありませんが、一般的には従業員規模で考えられることが多いようです。100人以上、もしくは300人以上を大企業とする場合が多いですね。個人的には5,000人以上企業の採用や育成行動が顕著に異なる場合が多いので「超大手企業」と言ったりしています。
 
小松
そうなんですね。スーツ社は10人以下ですし、私が社長をしていた上場会社ですら正社員は120名程度でしたから、大企業はやはり大きいですね!大卒や高卒の就職活動においては、就職先の規模について差はあるのでしょうか?
 
古屋
実は極めて大きな差があります。大卒者で1,000人以上の事業所に入社する人は32.5%、一方で高卒では17.8%とほぼ半減します。この差をどう考えるかです。なぜ高卒の方が小規模な会社に就職する傾向が強いのか。

また、大企業では早期離職者は少ない傾向にありますから、私は「高卒者が離職率が高い」という現象は、実は「高卒者は小さな会社への入職者が多い」ことでしかないのではないか、と思っています。
 
小松
それは逆かもしれませんよ。高卒者の多くは、「小さな会社への就職の選択肢しかない」ということかもしれませんね。本シリーズでも話をしてきましたが、地域を移動して就職する人は18.8%しかいないわけですから、大企業の多くが東京に集中しているからという理由もあるかもしれません。

ちなみに、奥間さんは、なぜ中小企業のスーツ社に就職されたのでしょうか?就職活動の際に、会社の規模はどのように考えていましたか?
 
奥間
僕が就職先を探していた時は会社の規模についてはあまり考えたことがありませんでしたが、小規模の会社のほうが厳しい環境に身をおけるように感じていて魅力的には感じていました。

ただ、大企業という選択肢がそもそもなかったのは事実かもしれません。誰もが知っているような大企業は大学卒業が最低ラインでしか入れないものだと思っていました。
 
小松
厳しい環境に身を置きたいとは、なかなか意識高い系な回答ですね(笑)。
 
奥間
元がのんびりとした性格なので環境を変える必要があると思ってです(笑)。
 
小松
奥間さんの学生時代の友人は大企業に行った方はいらっしゃいますか?
 
奥間
学生時代の友人では、多くはないですが大企業で働いている人も何名かいます。知っている限りでは地元沖縄の大企業などがほとんどです。
 
小松
その方たちは17.8%の中の人たちですね。基本的には、高卒就職においても、大企業を希望する人が多かったですか?
 
奥間
多かったですね。やはり誰もが名前を聞いたことあるような会社の方が家族も周りの人も安心してくれるし、小さい会社に比べて給与や労働環境も高水準で安定しているというイメージが強かったので、就職できるのであれば大企業へ行きたいという人が多かった印象です。
 
小松
そこはやはり大卒と同じですね。大企業や中小企業の特徴などは就職する際に教えてもらえるものなのでしょうか?
 
古屋
現在の学生さんの大企業志向は各種データから明らかですし、大学や高校のキャリアセンター・進路指導でも、実績作りにもなる大企業や有名企業を勧める傾向が一般的にあると聞いています。

この会社に行けと先生に「はめ込まれた」と、とある高校卒の方は言っていました。ただ、大企業と中小企業の違いというよりは、もっと基礎的な働くことに対する準備ができていない、というのが実態ではないでしょうか。
 
小松
本人の希望を超えて、先生に「はめ込まれた」となるとなかなか問題ですね(苦笑)。大企業や中小企業の長所・短所は、それこそ社会人でそこそこの年齢になっても判断がつきませんし、それこそ人それぞれ、会社も様々といったように思います。

そのように考えると、おっしゃるとおり、もっと基礎的な働くことに対する準備や、私たちが繰り返し言っているキャリア教育をしっかりしなければならないというような話になりそうですね!

 

「変わる?学校から仕事への第一歩」連載シリーズ

第1回 はじめに
第2回 大卒人材と非大卒人材の分断 前編
    大卒人材と非大卒人材の分断 後編
第3回 高校生の就職制度
第4回 高卒の就職率
第5回 「七・五・三」現象
第6回 離職した若者はどこへ行くのか
第7回 現在のキャリア教育
第8回 ハローワークの役割
第9回 地域格差
第10回 就職先企業の規模
第11回 初任給の格差
第12回 スクール・トゥ・ワーク

「ミドルベンチャーから画家へ。理想のあり方を追求する異彩女子に迫る」

自分で考え、行動し、キャリアを切り開く若手ビジネスマンを対象に行うインタビュー連載「若者たちが作る異彩のキャリア」。
今回は、人材系ミドルベンチャーから画家への転身という異色のキャリアを歩む鈴木奈々さんをご紹介します。

多くのビジネスマンが悩む自分のあり方。その難題に彼女はどう立ち向かったのか
経験なしのフィールドでどのようにして不安を克服し、チャンスを掴みとったのか
余すところなくお伝えしたいと思います。
(インタビュアー:築嶋宏宜)

直感を信じて決めたファーストキャリア

築嶋
かなり振れ幅の大きいキャリアチェンジを行なっていますね。まずは新卒入社とその経緯、ファーストキャリアについて聴かせてください。

鈴木奈々さん(以下、敬称略):
ファーストキャリアは経営人材を紹介する人材系ミドルベンチャーに入りました。色々と考えることはありましたが、結論、自分がビビッとときたというのが入社の一番の決め手です。元来私は、「考える」というよりも「感じる」タイプ。自分がいいと思ったことを直感的に選択して行動するタイプなんです。

だからファーストキャリアを決める最終的な決め手は直感なんです。そういうこともあって、「就職活動」というのは私にとっては地獄みたいなものでした。

築嶋
地獄ですか。具体的にはどういったことでしょう?

鈴木
考え方が強制されるんですよ。いわゆるゴール思考、目的思考という、ゴールを規定して、そこから逆算的に次の選択を決めるというものなのですが、私はどうにもこの考え方が苦手でした。

自分がいいと思ったことを実行する。その上で新しいことが起こり、またその都度いいと思ったことを直感的に判断する、私はそういった積立型の思考の方が性に合っており、ずっとそういう意思決定をしてきました。しかし就職活動、というステージに立たされ、強制的に考え方と思考回路の変更を迫られたのは苦痛以外の何物でもありませんでしたね。

築嶋
確かに就職活動ではそういったフシがありますね。そういった苦痛を感じながら、どうやってファーストキャリアを決定したのでしょうか?

鈴木
苦しみながら、それでも最終的には、その制約の中での直感を信じて決めました。

経営者に惹かれた。ということと、社員が全員自分のあり方に則って仕事をしていた、ということの2点です。就職してからはがむしゃらに働きましたよ。身体を壊すぐらいに。

自己裁量での仕事を奨励してくれる会社ではありましたが、自分の裁量で決定する部分に行きつく間もなく、必須業務に追われる日々。自分の能力不足のせいですが、結果を出そうにも、出し方がわからない。能力不足を補なうために、行動量と時間量で勝負しようと決め、朝6時半から23時まで働き続けました。

結果、体力的な限界と、自分の思考が縛られることでの精神的な限界が祟って、救急車で搬送されました。これまで信じて生きてきた「直感」というものが、この時はがんじがらめに縛られ、何も浮かんでこなくなっていました。本当に苦痛でしたね。涙が出るほどに。

この時、自分の根本的なあり方を押し殺して生きていたことに気づいたんです。

つらい過去から生まれた自分の在り方

築嶋
大変辛い経験でしたね。お話しいただきありがとうございます。
、、、さて、先ほどからあり方というワードがよく出てきますが、鈴木さんにとって、あるべきあり方とはどういったものなのでしょうか?

鈴木
私にとってのあり方は「直感」と「感謝」です。その場その場で、良いと思ったことを判断していく。理屈じゃなく自分が確信でき、すべての結果に責任を持てる選択をすること。その上で生じた結果はいい悪いに限らず、全て感謝する。これが私の生き方であり、あり方です。

築嶋
どうしてそのようなあり方に行き着いたのでしょうか?

鈴木
中学の時の原体験が非常に大きいです。暗い話にはなってしまいますが、この時期は私にとって暗黒期でした。外科手術の後遺症が残り、学校ではいじめられ、家庭は崩壊。自分のいる場所がなく、どうしても自己肯定感がもていない状況でした。そんなとき、おばあちゃんに言われたんです。

「辛い時は試練。いい時は感謝しなさい」

心の奥底に深く突き刺さりました。

その時から、どんな状況でも自分の置かれた環境に、そして関わる人に、感謝していくことを決めたんです。それからというもの、自分の生活に変化が現れました。いろんな人と打ち解けられるようになり、感謝でご縁が繋がっていくようになったんです。

そこからです。私がこのあり方を大切にしようと思ったのは。

築嶋
なるほど。とても強い原体験です。それが抑圧されていたとなると、相当辛い経験でしたね。

鈴木
そうなんです。救急車で搬送されてからは療養期間をとったのですが、どうにも、本来の自分のあり方を取り戻すことはできませんでした。

築嶋
それはそうですよね。初めて出た社会で、今までの依り代だった生き方が否定されたのですから。

鈴木
そんな時、尊敬していた自社の経営者から、今の恩師を紹介してもらったんです。その方は自分で会社をやっている経営者でした。ご多忙にも関わらず、お話を聞いてくださって、対話を通して、忘れていた私の大切な価値観、あり方を思い出させてくれたんです。

築嶋
ひょっとして、その方が鈴木さんの画家への転向のカギを握っているのですか?

鈴木
はい。ふとした時に、その恩師に、以前絵を描いていたことを話したんです。そして、過去に描いた絵を見せたら、こう言ったんです。

「今日からお前画家や!俺が買うから。なんの絵でもいいから描いてこい!」

耳を疑いました。でもどうやら本気みたいなんです。この時からです。私の画家人生が始まったのは。

鈴木さん作品

築嶋
すごい恩師ですね、、!全く違う領域、やったこともないこと。不安はなかったんですか?

鈴木
もちろんありましたよ。最初の会社を辞める辞めないの話もありましたから、ストレスで6キロ痩せました。でも当初は画家で生活していこうなんて思っていなかったので、とりあえずこれだけ描いてみようって感じで描いたんです。

築嶋
何を描いたんですか?

鈴木
自宅の梅の木を描きました。本当に、ただなんとなく、梅の木を描いたんです。言語化ができない何かに惹かれて、描いてみようと思いました。恩師に頼まれた手前、退路がなかったのもありますけどね。(笑)

描き上げた後、恩師にお披露目会の場を設けてもらいました。そこには、これまでの自分では到底会えないようなすごい経営者がたくさんいらっしゃって、本当に緊張しました。

けど、決めていたんです。もう、社会でまことしやかに言われている「論理」に縛られながら話すのはやめようって。だから、ぐちゃぐちゃになりながら、自分の感じた何かや、なんでこの絵を描いたのか、どういう想いで描いたのかを説明しました。自分だけの言葉で、自分だけの想いを語ったんです。多分、聞いていた人は何を言っているかほとんど理解してなかったように思います(笑)。

それでも、大絶賛してもらいました。この時に参加していた方々に次々と予約をもらって、今の画家としての生活があるんです。これが、自分を縛っていた社会のしがらみから解放された瞬間で、本来の自分のあり方に自信を取り戻した瞬間でもあります。

鈴木さん作品

築嶋
「直感」と「感謝」ですね。

鈴木
はい。店舗に飾る絵の依頼や、家に飾る絵の依頼などもいただくのですが、その人が一番喜ぶ形で、一番いいと思ったことを、直感に従って形にしています。だから会う人には、名刺がわりに絵なんかもプレゼントしているんです。出会った人には必ず感謝。出会ったこと自体に感謝。自分のあり方に純粋に生きているので、なんの不安も、心配も、ストレスもありません。今の人生に納得していますし、自分のあり方が正しいからこその今だと確信しています。

築嶋
本当に素晴らしいですね。ありがとうございます。それでは最後にメッセージをお願いします。

鈴木
はい。メッセージはたった一つです。あり方を大切にしてください。ということ。社会に出た後は、数値、目標、タスク、ノルマなんてことが、本当に「正」としてまことしやかに語られています。しかし、それより大切なのは、あり方だと思います。自分がどう言った人間で、どういう風に生きていきたいのか、それを突き詰めて欲しいと思います。

最初は社会から外れた意思決定をすることに、悩むこと、心配すること、怖いことなど、たくさんあると思います。でもあなたのその素敵なあり方に触れた時、必ず共感し、賛同してくれる人が出てきます。だから、自分を曲げずに、強く生きていって欲しいと感じます。

築嶋
ありがとうございます!画家としてのこれからの活躍に期待です!本当にありがとうございました!