元非大卒人材の僕

学生及び早活人材に対するキャリア教育事業等を行う一般社団法人スクール・トゥ・ワークでは、2019年1月22日から3月31日までに、主に中学校卒・高等学校卒・専門学校卒・高等専門学校卒・短期大学卒や大学中退などの人材と定義される「非大卒人材」に代わる新名称の募集をしておりました。

応募総数166個の中から、当団体で事前審査を行い、7月13日に開催したイベント「ハッシャダイ × スクール・トゥ・ワーク~18歳の進路選択~」vol.1において、学校の先生などを中心に参加者の方々にご投票いただいた結果、新名称が「早活人材」(そうかつじんざい)となりました。

自己紹介が遅くなりましたが、僕は、1994年生まれ、森川 剛(もりかわごう)です。最終学歴は高卒。冒頭で紹介した「早活人材」になります。

今回は、元「非大卒人材」であり、名称変更して、新たに現在「早活人材」となった”当事者”である僕の視点から少しお話をさせていただきます。

職業選択の自由が無く、辞退が許されない非大卒人材

僕は現在、20代に特化した転職エージェントでキャリアアドバイザーとして日々、20代の求職者と面談をしています。

そんな僕も最終学歴は高卒であり、いわゆる「非大卒人材」でした。

周りからは驚かれるのですが、2017年まではお笑い芸人としても活動をしておりました。

おそらくあまり芸人っぽくない振る舞いだから驚かれるのかもしれません。

もっと芸人時代のことも書きたい気持ちもあるのですが、今回は僕の高校就活時代の話を書いていきます。

僕は高校では学年で下から2番目という成績で高校最後のテストを終えました。

お世辞にも勉強ができる学生ではなかったので、今思い返しても、卒業後の進路も大学進学という文字は浮かんでいなかったと思います。

当時からお笑い芸人への憧れは持っていたものの、相方候補がいた訳でも無く、自分がボケなのかツッコミかも分かっておらず「芸人になる」という選択肢はありませんでした。

消去法の結果、就職という選択肢が残りました。

就職のことなどまるで分かっていなかった僕ですが、幸い自分よりも先に就職活動を行なっている友達がいたため、あれこれ尋ねて、進路相談室までたどり着くことができました。

本来であれば、ここで求人を紹介してもらい急いで面接を受けるのですが、僕は高校から斡旋される求人は受けず、自分で求人サイトから応募をしてIT企業の営業職へ内定を得ました。

斡旋された求人を受けなかった理由は、「決められた求人しか受けられない」からです。

ご存知の方は少ないかもしれませんが、高校生の就職活動はルールが決められております。

都道府県によって若干変わりますが、僕の高校では成績表の評定が良い生徒から順番に求人が渡されます。

学年で下から2番目の成績の僕に紹介される求人は、いわゆる不人気の企業となります。

勉強はできないが、誰よりもわがままだった僕を満たす求人はそこになく、結果として自分で求人サイトから探しました(笑)。

僕のように先生の制止を振り切って行動できる人はそれで良いかもしれませんが、多くの高校生は、業界や市場のことなど分からず、先生の言う通りに卒業後の進路を決めていきます。

特に驚きなのが、内定獲得後に辞退ができないということです。

正確には、「辞退という選択肢を知らない」のです。

高校生の就職活動において、「内定=入社確定」なのです。正直にいうと、生徒たちに明確な志望動機などがあるとは思えません。

その現れなのか、大卒の新卒3年以内の離職率が30%に対して、高卒の新卒3年以内の離職率は40%となっています。

これが現状です。

非大卒人材から早活人材へ

令和になり、僕のような主に大卒以外のキャリアの人々の名称が「非大卒人材」から「早活人材」に変わりました。

しかし、名称が変わっただけでは意味がないと思っています。

最後に僕が考える「早活人材」のキャリアについて書かせていただきます。

①キャリアについて考えるには下地から

先ほど高校生の就職活動には制限があり、好きな求人を受けることができないと書きました。しかし、この求人の制限を解除したからといって、離職率に変化があるとは思えません。

また、急に職業選択の自由を与えても、そもそも業界や市場について知らないので、どこへ行くと自分の思うキャリアを歩めるのか、自分の考えるキャリアは市場感とズレていないかなどというジャッジができないと思います。

そこで、まずは「キャリアについて向き合う、考える時間を増やす」ことがファースト・ステップだと思います。僕はこれを「My Life思考」と呼んでいます。

学校によっては、高校3年生からキャリアについて考える授業などを設けていると聞いたことがありますが、卒業後の進路について高校3年生になっていきなり考えるというのは無理があると思っています。

そこで、高校1年生の時から「キャリア教育」をカリキュラムに追加すべきだと思っています。

「My Life思考」は他の教科と違って、答えがない勉強になるので、だからこそ1年生から向き合う、考えることに慣れる必要があると思います。

また、先生だけがその授業を担当するのではなく、民間企業の社会人を講師に招いたり、キャリアコンサルタントを招いたりして、新たな価値提供の場として設けるのも大いに良いと思います。

②キャリアについて下地をつけた上で職業選択の自由に

「My Life思考」を通じて、下地ができたところで、高校就活のルールを変えるべきだと思っています。

・受けられる求人数の改善
・夏休みなど長期インターンの実施
・企業の人事、先生以外の大人によるコーチング

18歳の生徒一人にキャリア選択を押し付けるのではなく、周りの大人が最大限サポートをして納得感を持って彼らが次のキャリアを歩めるようにしたいと思います。

「非大卒人材」から「早活人材」へ。名称の変更とともに、いい方向に変わっていけるように頑張ります。

 

2020’sの若者キャリア論(その2) 佐々木満秀(人と未来グループ代表取締役)×古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)

2020年代の若者キャリアはどうなっていくのか。今回は、高校新卒求人サイト「ジョブドラフト」を運営する株式会社ジンジブをグループ会社に持つ株式会社人と未来グループの佐々木満秀さんと対談します。

前回 2020’sの若者キャリア論(その1) 佐々木満秀(人と未来グループ代表取締役)×古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)

 

古屋
私が高校生の就職について一番問題だと思っているのは、ルールの決め方なんです。毎回議事録も作らずに、高校生の就活ルールについて密室で議論してるんですよ。

ご丁寧にも入り口には「この会議は非公開です」と書いてあり、理由は「社会に対する影響が大き過ぎる内容なので、いろんな人が来ると困るから。」という。さすがにその理由はないんじゃないかと思いますよね。

話を戻しますが、大卒と高卒の就職の最大の違いは、大学生はいろんな会社を見ることで、自分の中で仕事とは何だろうと考える時間があるかないかです。最近はロングインターンも流行ってますが、大学生でも意識の高い一部の学生以外はほとんど遊んでいるだけで、職業観は一切ないと思います。

そのような大学生が就活を経ると、多少ですが、仕事は何のためにするのかを考えるようになります。就活では「軸」と言う言葉がよく使われますが、一応は納得して就職していきます。高校生にはこれすらありません。

先ほどおっしゃったように、失敗は自分に跳ね返ってきますが、自分のキャリアの中で、「若い頃の失敗は成功するためにある」と思うんですよね。ほとんど“成功”ですよね、若いころ失敗したということは。

まさに社長がそうだったと思うのですが、失敗したことで人間が太くなっていくと思います。就職活動もそうした機会ですが、高校生にはそれが無いように思います。職業観がないまま就職はするが、早期離職し、辞めた後にはどうするのというような状態に陥っています。

オープンな就職が広まっていくことで、自分の社会での役割はなんだろうとか、仕事は食うため以外に意味があるのか、家族ができたらどうしようなどいろいろ考えて、仕事に対しての思いが変わると思います。

佐々木
情報を開示してもらい、ルールを決めている人たちだけではなくて、当事者である高校生や企業側が考えるキッカケになったらいいなと思います。
日本の制度・ルール全体を決める人たちの大半が大卒なので。

古屋
おっしゃるとおり。それが最大の問題ですね。

佐々木
以前、政治家の方にご意見をお伺いしたのですが、「あ、そうなの?そんなふうになっているの?」と言われました。

古屋
政治家の方でもそのような認識なんですね。

佐々木
当然賢い方なので、「その仕組みで高校生が守られてるんではないか?」と言われて、「そうです。守られているんです。」と答えました。守られてるからいい側面もたくさんあるんですが、情報が止められないこの社会において、このルールはどうでしょうと。

昔みたいにネット社会になってないときには、良き側面もあったわけですが、大きなミスマッチの要因はそこです。これから大学は全入制になっていきますが、それでも高卒で働く方が20%はいるので、この方たちにもっとチャンスを与えていかないといけないなと思います。今、外国人の採用ばかりに目を向けてる場合じゃないでしょうと。

古屋
全くそのとおりです。

佐々木
これからの日本は、「バカ」をやっていかないと変わらないと思っています。
労働人口は減少してマーケットも縮小しますし、全体的に何か「バカ」なことをやっていかないと思います。「バカ」という言い方も変なんですが、今までの正解・不正解の正解ばかりを選択していくと、イノベーションは起きません。

みんなはイノベーションを起こさなければならないと言われるのですが、イノベーションはある意味「バカ」だと思うので、これをやれるのを高卒に期待しているのが、僕の正直な意見です。

大学生はどうしても守りに入ります。「俺は早稲田までいってるのに…」と早稲田の学生が言ってるんです。
例えば、とあるジンジブという会社に就職するということなどはできないんです。親にも絶対反対されますし。

イノベーションを起こそうと思ったら、新たなベンチャーをどんどん起こさなければならないし、新たなサービスや商品を見出さないといけないわけです。僕らみたいな人間が高卒就職の民間斡旋をやろうとしているのも、僕らが「バカ」だからだと思ってるんです。賢い人はぜったいやらない(笑)。

古屋
そうですね。

佐々木
やれないんですよね。収支も見えないし、マーケットも見えないので。
だから、賢い人たちはやれないんです。

経済が勝手に成長する時代は守りも必要ですが、もはや、縮小が確実に見えてますので、それなら「バカ」なやつがいっぱい「バカ」なことをしだして、そこで失敗してもいいし、挑戦していかないといけません。

うちの理念は、「挑戦と創造」なんですが、こういう会社がたくさんでてきたら、マーケットとの逆行期待が生まれると思うんです。今、国民は将来に対する期待はほぼ無いので。

古屋
若い人は特にそうですよね。6割は希望がないと言っています。

佐々木
私は違うと思うんです。「社会に希望がない」んじゃない。希望や期待がない社会で、挑戦するしかない、創造するしかない、そのためにイノベーションを起こせと有識者や賢い方は言われるのですが、「じゃあ、自分がやれよ」と思いますね。だけど、これができていないんです。

イノベーションが起こせないといえば製造業の雇用。これまでの日本では製造大国日本、というのが神話になってきていたし、製造という領域自体が日本の価値でした。今は完全に逆転されていますよね。製造からデータの領域になってしまって、これからはITの領域でどう勝つかという時代に入っているのに、目先の雇用だけを考えたときに製造領域の神話を手離せないんでしょうね。

古屋
就職先でいうと、現在でも高校生の4割は製造に就職しています。
あまりにもいびつですよね。大学生は1割なんですよ。

佐々木
大学生は企業の将来を考えられますからね。

古屋
そうなんです。この差をどう説明するかなんです。
1970年と同じ古いやり方をやってるから、同じマッチング先になっているだけなんです。

佐々木
それを幸せだと思っているからですよね。

古屋
本当は進路はもっと他にあるはずなんです。
情報通信とかサービス業など、いろいろあるはずなんですが、そこに学校が入ってガッチリやって90%近い生徒が学校経由で就職活動するんで、結果、製造業に流れているという流れです。

おっしゃるとおり、今の日本は外国人を入れるほど逼迫してるわけです。外国人を入れるという決断をしたわけです。しかし日本の中にも、もっと活躍できる人はいるんじゃないかと思います。
そういう活躍できる高校生が4割も製造業でいいのかと思いました。

自分でいろいろな求人を見たいという生徒にとっては、そこを見ることによって「自分の世界はこんなに広いんだ」ということに気づくきっかけになるんです。

佐々木
それがほんとに大事ですね。

 

中央官庁・教職員・大学生・早活人材による、垣根を超えたキャリア教育セッション「キャリアボウル」開催のお知らせ

Beyond Cafe × スクール・トゥ・ワーク 公開イベント第1弾

この度、学生及び早活人材[1]に対するキャリア教育事業等を行う一般社団法人スクール・トゥ・ワーク(所在地:東京都千代田区、代表理事:古屋 星斗)と大学生を中心に人材育成・就業支援を行う株式会社Beyond Cafe(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:伊藤 朗誠)は、2019年10月12日(土)・13日(日)10時から18時まで、Beyond Cafe本社(東京都渋谷区桜丘町21-4渋谷桜丘町ビル3F)において、中央官庁・教職員・大学生・早活人材による、垣根を超えたキャリア教育セッション「キャリアボウル」を開催します。

高校を卒業して就職する人材は、2017年度は184,094人。例年20万人弱の高校生が就職しています。しかし、高卒人材は3年で4割が離職し、また、就職先の業種やエリアも大卒と比較して極めて限定的であり、就職する企業の選択肢自体が居住する地域によって大きく制約されるなど、就労にあたっての社会的な支援や、産業社会における活躍のサポートには至っていないのが現状です。

そこで今回は、中央官庁・教職員・大学生・早活人材というキャリア教育の当事者が一堂に会し、「新しいキャリア教育のカタチ」を模索するべく討論を行います。大学生のキャリア発達を促すために、インターン型のイベントとしており、1日目に大学生のアイデアソン、2日目に関係各者を交えた討論会を実施します。

参加者は、橋本 賢治 氏(キャリア教育研究家)、井波 祐二 氏(都立小山台高校教員 、「社会人準備講座」「キャリアデザイン授業」の考案者)、伊藤 朗誠 氏(株式会社Beyond Cafe代表取締役社長)、古屋 星斗(一般社団法人スクール・トゥ・ワーク代表理事)を中心とし、大学生15名、早活人材3名(高校生含む)、教職員3名、中央官庁3名を予定しており、ファシリテーターは当団体の事務局長の築嶋宏宜が務めます。

【イベント概要】
イベント名  Beyond Cafe × スクール・トゥ・ワーク 公開イベント第1弾
       「中央官庁・教職員・大学生・早活人材による、
        垣根を超えたキャリア教育セッション 「キャリアボウル」」
主   催  一般社団法人スクール・トゥ・ワーク  株式会社Beyond Cafe
開催日時   2019年10月12日(土)・13日(日)10時から18時まで
開催場所   Beyond Cafe本社(東京都渋谷区桜丘町21-4 渋谷桜丘町ビル3F)
参加料金   無料
内   容  10月12日(土)
       大学生インターンワーク開始
       チーム作成 / メンター決定 / アイデアソン / ヒヤリングタイム
       10月13日(日)
       大学生ワーク
       関係各位による大討論会

パネリスト及びファシリテーター経歴
1.橋本 賢二

キャリア教育研究家
1981年さいたま市生まれ。現役の国家公務員として人材育成などの人事関連の本業に従事する一方で、「キャリア教育研究家」として、子どもから大人までが自分の在り方を考えられ「キャリア教育」の普及・促進を目指して、教育委員会や学校法人、企業などで講演活動を行っている。

2.井波 祐二

都立小山台高校教員
1984年東京都江東区生まれ。明治大学卒業後、株式会社リクルートHRマーケティング(現株式会社リクルートジョブズ)入社。非正規雇用領域の採用コンサルティング営業に従事。2014年に退社し、GCDF-Japanキャリアカウンセラー資格取得。2015年より東京都立小山台高等学校(定時制)公民科教諭として勤務。公民科および「総合的な学習の時間」等の授業において、官公庁・企業・NPO・商店街組合などの外部機関と連携したキャリアデザイン授業やPBL型授業を実践中。

3.伊藤 朗誠

株式会社Beyond Cafe 代表取締役社長
1991年兵庫県尼崎市生まれ。関西大学卒業後、教育の機会格差を解決するために教育×ITのベンチャー企業に就職。2016年に「働くを夢中に」をテーマに、大学生のキャリア教育を行うコミュニティスペースBeyond Cafeを創業。現在会員数は2万人を超え、仙台、大阪、福岡にも支部を展開。これまでに個人として2,000人以上の大学生のキャリア支援に携わる。

4.古屋 星斗

一般社団法人スクール・トゥ・ワーク 代表理事
1986年岐阜県多治見市生まれ。一橋大学大学院(教育社会学)修了後、経済産業省入省。産業人材政策、クリエイティブビジネス振興、福島の復興、「未来投資戦略」の策定に携わり、アニメの制作現場から、東北の仮設住宅まで駆け回る。同省退官後、現在はライフテーマである、次世代の若者のキャリアづくりについて、民間研究機関にて研究を進める傍ら、対話型キャリアづくりを実践する一般社団法人スクール・トゥ・ワークを創設。「今、活かしきれていない若い力が、この国最後の切り札」であると確信し、若者が活躍できる環境を実現するため、実践から研究まで活動する。

5.築嶋 宏宜

一般社団法人 スクール・トゥ・ワーク 事務局長
1994年埼玉県川口市生まれ。立教大学文学部修了後、新卒採用系企業を代表取締役COOとして立ち上げ、一年で5都市に展開しキャリア教育を含む採用のサポートを実践。拡大と売却までを行う。現在は民間企業に勤める傍ら、興味関心度の高いキャリア教育事業を非ビジネスセクターから推進するべく、一般社団法人スクール・トゥ・ワークの創設から参画。若い力が未来で輝ける社会を実現すべく活動を続けている。

 

[1] 非大卒人材とも言われ、主に中学校卒、高等学校卒、専門学校卒、高等専門学校卒、短期大学卒や大学中退などの人材

プレスリリースファイル

2020’sの若者キャリア論(その1) 佐々木満秀(人と未来グループ代表取締役)×古屋星斗(スクール・トゥ・ワーク代表理事)

2020年代の若者キャリアはどうなっていくのか。今回は、高校新卒求人サイト「ジョブドラフト」を運営する株式会社ジンジブをグループ会社に持つ株式会社人と未来グループの佐々木満秀さんと対談します。

 

古屋:(一般社団法人スクール・トゥ・ワーク代表理事、以下略)
今日の対談は「2020’sのキャリア論」ということで、佐々木さんから色々とお伺いしたいと思います。

まず、はじめに、佐々木さんはご自身も高卒で就職なさったご経歴を持ち、その後もかなり面白いキャリアを歩まれていると聞いたのですが、お話を聞かせていただけますか?

佐々木:(株式会社人と未来グループ代表取締役、以下略)
当然、職種もいろんなものを経験しました。特に若いころは超短気で、すぐに上司と喧嘩して会社を辞めるタイプでした。

それで23歳まで自分でトラックを買って運転し、運送業をやっていました。
トラックは働けば働くほどお金がもらえるんです。大阪では東京までを1回往復したら10万円もらえるんです。

その時はプライベートでも悩むこともあり、このままいったら将来どうしようかなと考えた時期です。矢沢永吉世代だったんで、将来「成り上がりたい」というのが自分の座右の銘でした。ほぼ寝てなかったんですが、「これ、今やからできるなー」と感じていました。

成り上がりたいのに、このままだと成り下がるよなと思って、成り上がるためにどうしたらいいか考えて、転職活動を始めたんです。

古屋
23歳から24歳くらいの頃ですか。

佐々木
23歳です。
今の大卒1年目の時期です。その時に転職活動し始めたんですが、面接で、20数社連続で落とされました。生意気やったり、風貌もあるんですが、当時犯罪者みたいな顔つきをしてましたから。それで、ほぼ落とされました。営業が一番成り上がれると思ったので営業ばかりを受けたんですが。

古屋
実力主義ですからね。

佐々木
そうです。月収が完全インセンティブのようなところを、たくさん受けました。たぶん古屋さんの時代ではなくなっていたと思うのですが、教材販売とか、怪しい会社がいっぱいあったんです。

古屋
小学生の頃はありましたが、今はないと思います。

佐々木
今はなくなったんですか。昔は小学生が使う図鑑全集みたいなものを売ってて、あれ実は、1セット売ったら100万円くらいするんです。そこも落とされる。
結局そのとき受かったのが不動産の営業でした。それも2か月で喧嘩して辞めるんですが(笑)。

求人広告の営業に就いたときもあり、やっぱ営業って面白いなと思いました。学歴も関係ないし、僕みたいに素行も悪いわ、見た目も悪いような奴が、結果で評価されるというのが面白くて。

その会社では26歳で常務までやらせていただいたんです。その会社の倒産や、父親の病気も重なったことがきっかけになり、21年前に最初の会社である株式会社ピーアンドエフを創業し、ある程度ですがお金持ちになりました。

その後、7年前に色々と考える時期があり、これからの時代において社会に対して何かしたいと思うようになりました。歳いくとそう考えるようになってくるじゃないですか。

ビジネス的に社会性の強いものをやらないといけないと思い、自社でも本当に社員のため、社会のためになっているかということを考えました。当然ビジネスですから収益になることをやらなければならないですし、色々と考えた結果、高卒採用の支援をやりたかったんです。

始めたら始めたで、高卒就職の業界の闇の深さも分かってきて、課題も見えてきました。
僕は、ジンジブという会社の代表でもあるんですが、今は、「高卒採用に命かけたろ!」と考えています。

古屋
先日も、某新聞のコラムに佐々木さんと私のコラムが一緒に掲載されましたね。
とても素晴らしいなと思いました。

ただ、私のコメントが書かれている欄の上には、学校関係者の就活のあり方の見直しへの反対意見も載っていましたね(笑)。

佐々木
新しいことをはじめると良く思わない人も必ずできます。

古屋
高卒就職については法的なルールはほとんど存在しない、しかし高卒就職の世界だけで適用される特殊なルールが存在する、という厄介な状態ですよね。つまり「行政や学校の中だけのルール」が「ルール」になっているんです。「これはルールだ」とビジネスサイドに言ってくるのは完全にお門違い。

元行政官としても正直、多くのケースで公権力側の越権行為が起きていると感じているんですが、それを言い出せないほど、今のやり方を変えたくない人や既得権を持ってしまってる人が多い状況ですので、私も微力ながら一歩一歩この活動を進めて行けないかと思っております。

学校の昔からいた先生方。彼らが見ている幸せな世界があるわけですよね。卒業するときに「先生ありがとう」と言われたり、良い会社に就職できましたと親御さんも言ってくれて、それで卒業していくと言う話をたくさん聞いている方々ですので。そういう世界は確かにあります。

佐々木
ありますね。

古屋
当団体に所属している青年は、もともと長野の商業高校の野球部でした。
素行が良かったということもあり、一人一社制の中で、大企業を紹介されて就職しているんです。業界ではだれでも知っているようなBtoB企業ですよ。

その時は、親御さんも含めて良かったと思っていたのかもしれませんが、その後、職場の現状に失望して、なんと半年で辞めたんです。

高校の先生方が見ている世界は、幸せなエンドロールが流れてるところまでなんです。エンドロールが流れ切った後に起こっていることはご存じないと、もっと当事者の話を聞かれた方がいいんじゃないかということを、日々伝えています。

さて、まさに、佐々木社長は、30年前の当事者のお一人だと思いますが、そういう方の話を聞かずに、違う世界の方に行かれた方なんだろうなと思って、今の話を伺っていました。

佐々木
決定的な違いはゴールですよね。
僕の視点では、ゴールは人生なので、人生全般を考えたファーストキャリアでなければならないと思っています。しかし、内定して就職させることがゴールになってしまっている人が多い。先ほどおっしゃったように、卒業後に何が起こってるかなど、現在表面化されていない課題があるわけです。

古屋
全くその通りです。

佐々木
確かに、内定というゴールは数値で表した場合には、98%とかの内定が取れてるので、いい数字が出ているんです。そこはいいと思うんです。
僕もそうですし、今の高校生たちもそうですが、意思決定の問題が大きく関わっていると思ったんです。

高校生は職業観が全くなく、その中で意思決定をしているように見えるけど、今の規制の中での意思決定は、情報がない中でなされており、先生や保護者の後押しがあっての意思決定です。「俺が選んだ」と思っていればいいんですが。

どんな業種で、どんな仕事で、どんなキャリアステージがあって、自分の人生でどういうことをやりたくて、ということに繋がらないんです。

そのゴールには、大手に就職できるという一部の高校生の利点もあります。でも結局、ほとんどが辞めるんです。
ファーストステップで大手に入ることが良いか悪いかもあります。

僕は自分の子どもの教育を考えたら、ベンチャーやブラックに行ってもいいと思っているんです。僕もブラック企業を経験してますし、大手は大手の良さもあるんですが、30代や40代になった時に、どういう仕事経験があって、職業観が生まれるかは大事ですからね。自分で意思決定して安定志向の人もいますし、親の方針で「超ブラック企業にいけ」という僕のような人もいるし、それは自分で選べばいいと思うんです。

離職した時に、失敗を自分の経験に活かせるかどうかというのがあります。高校生は、学校から推薦されて、この仕事は合わなかった、人間関係よくなかった、で辞めるんですが、失敗だとは思わないんです。それを失敗と認識し自己責任で「次は絶対失敗せんとこ」と思わなければならない。

僕は、仕事もいっぱい失敗してるんですが、親に決められたことは一切ないんです。学校の先生にも決められなかったので。素行が悪かったから紹介受けなかっただけなんですが(笑)。だからこそ、自分が考えて、失敗を失敗の経験値として、そこから社会に出て、自分で選んでいくんです。

今の高校就活のあり方で、大学生との決定的な違いは、失敗が活きない。大学生は自分で会社をいっぱい見て、最終的には「俺はベンチャー行く」と言う人もいれば、「大手に行きたい」という人もいる。入ってみて、合わないとか離職するのは同じですが、その後が違うと感じてます。

今のルールの中で、高校生には職業観が無いので、先生からの助言は大事だと思います。今のルールの良さもあるのですが、ただ、あまりにも子ども扱いをされると、高校生が18歳成人になるにあたり、情報過多な時代なのに規制ばかりするような、求人票一枚で3社見るのが精一杯の、高校生の就活では、これはいかんやろと思っています。

古屋
実際に見に行くとビックリします。それには2つの意味があって、一つには「この時代に紙?」や「この時代にこの情報しかないの?」。もう一つは、「この時代に」ということ自体を知らないことです。高校で就職した約17万人は、そもそも自分たちがまわりから見て結構ありえない状況にある、ということを知らないです。これが大きな問題だと思います。知らないので問題にできないんです。

ここをどうにかできないかなと思っています。

佐々木
まずは、実態を知ってほしいですね。

ダイヤモンド・オンライン「高校生就活の知られざる闇ルール、1人1社制・内定辞退できない…」掲載のお知らせ

この度、学生及び早活人材[1]に対するキャリア教育事業等を行う一般社団法人スクール・トゥ・ワーク(所在地:東京都千代田区、代表理事:古屋 星斗)は、2019年9月5日付ダイヤモンド・オンライン(URL:https://diamond.jp/articles/amp/213850?skin=amp)に、代表理事の古屋のコメントが掲載されましたので、お知らせいたします。

 

<記事の引用>
それにもかかわらず、なぜ「1人1社制」は続いているのか。学生や非大卒人材にキャリア教育事業などを行うスクール・トゥ・ワークの古屋星斗代表理事は、歴史的背景を交えて理由を語る。

「1人1社制は、第2次世界大戦中の総動員体制下において、学校が戦時動員により工場等に学徒をあっせんする機能を持ったことに起因すると考えられている。この体制が、戦後の中学や高校における学校やハローワークの『全員あっせん体制』につながっており、時代が変化した今も根強くその“型”だけが残っている。変化しないのは、この仕組みを変えることに抵抗がある古い考えを持った関係者が多いからではないか」

古屋さんが提案するのが、これまでの「学校推薦枠」と民間サービスなどを活用し高校生が自ら自由に選択・活動する「一般活動枠」の“併用”だ。

「良いところは残しながら、優秀な生徒が羽ばたいていける仕組みを作るべき。そして、今は高校生が卒業後のキャリアを考える機会もほとんどないが、今後は社会人出身の教師などが指導することが大切ではないか」

 

[1] 非大卒人材とも言われ、主に中学校卒、高等学校卒、専門学校卒、高等専門学校卒、短期大学卒や大学中退などの人材のこと